後書き

旅の始まりはドラマチックに。

旅の終わりはノスタルジックに。


旅が大好きな私の一種のモットーでもあると言えます。


この物語は実際に、大学二年生の頃に経験した旅行を基に綴った作品です。そうです。こんなフィクションのような二人の出会いはノンフィクションでもあったのです。事実は小説よりも奇なりとはよくできた言葉で、私は深く頷いてしまいます。


この時の出会いがなければ、私はこの作品を皆さんにお届けすることが出来なかったのではないかと思います。そして今回の作品を書くに当たり、実名の利用を快く引き受けて下さった広瀬一さんと三島彩音さんにはこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。


初めは仮名を使おうと思っていたのですが、仮名だと自分の旅ではないような気がして変な気分がしてしまったんです。私が辿った道のりを他の誰かが勝手に歩んでいるような不思議な感覚でした。そこで無理を言ってお二人には頭を下げて、実名の使用を許可頂いた次第です。


一の心理描写も本人に根掘り葉掘り尋ねました。初めは恥ずかしがって中々口を割ってはくれませんでしたが、徐々に徐々にその時の想いを私に打ち明けてくれました。うーん、書いている私も恥ずかしい言葉をありがとうとでも言っておきますか。


今回この本の編集をして下さった梨華さんには「本を使って公然と人前でイチャイチャするな」と顔を真っ赤にしながら窘められたものです。読者の皆さんもそう思ったかもしれません。


それでも旅には、


出逢いと別れ。

トラブルとハプニング。

美味しいものに温泉。

人のぬくもりと綺麗な風景。


様々なものが詰まっています。よく旅とは人生の縮図のようなものであると言われますが、その言葉にも私は再び首を大きく縦に振ります。この本を読むことで、皆様の心の中に「旅をしてみたい」という気持ちが芽生えたのなら、それは私にとって何よりの幸せでもあります。


最後になってしまいますが、この本をお手に取って下さった皆様。本当にありがとうございました。


二宮 栞

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