起床の時間

 その後、ひとねに散々馬鹿にされながら乗客を一つの車両に集めた。時間帯的に少なめとはいえ足腰が痛い……

「ご苦労様、君は休んでいたまえ」

 得意気にひとねは立ち上がり、電車の揺れに少しよろけた後に咳払い。

「さあ諸君、起床の時間だ!」

 そう言ってひとねはスマートフォンから大音量を出した。

 それにしても……テンション高いなあ。

 ひとねが大音量を出し、皆が目を覚ましすと同時に前が見えない程の光が出て、前が見えるようになった頃には元通り。

 この車両に連れて来た人も元の位置に、時間も正常に進み始めた。

 ……あれ、もしかして夢?

 まさかの夢オチかと考えてたがひとねが得意気に俺を見ている。

 ああ、夢じゃない。しばらく馬鹿にされる気がしてならない。

 俺は小さく溜息をついた。

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