稀代の吟遊詩人が遺した十八篇の詩と、それぞれに付された後世の注解からなる一冊。詩を読んだあとに注解へ進むたび、人物や土地の見え方が少しずつ変わっていくのが印象的でした。伝説、暮らし、土地の言葉や記録が幾重にも重なり、細かな世界設定が単なる説明ではなく、読む体験そのものにつながっています。同じ世界が異なる言葉から見え直していく感覚や、詩とその周囲に残る余韻をじっくり味わいたい人に向いている作品だと思います。