第19話 ロクなトラウマ経験してないヤツは何を主張しようと薄っぺらいからまず黙るを覚えて大人になれ2
殺す為の技術は全て学んだ。
護る為の知識は全て修めた。
だけど、その全ては足りないモンばかり。
学校で教えるカリキュラムの全てでしかなく。
世界の全てではないという話。
自分が基準だと考える程に馬鹿じゃないが。
世界はいつも予想と期待を悪い意味で裏切る。
「なんもないっすけど?」
『ふむ。おかしいね。ワタシの見立てでは農家さんが現れる筈なんだが』
「やっぱ、部長もそう思いますか?」
『状況証拠と矛盾点とを思考に組み入れたというだけなんだけど、サクランボ泥棒を謝って殺してしまったにしては用意周到だなと思うわけだよ。そんな人里離れた果樹園で殺人事件だろ?』
「ええ。この時期のサクランボ農家は武器に転用出来るような農具を持ちません。そりゃ春先の収穫以前、剪定の時期ならハサミとかノコギリとか使いますけど、今は収穫ですからね」
『そうだ。それが意味するのはたまたま泥棒を殺したんじゃない。最初から泥棒を殺す備えをしていたとしか思えない』
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