序章第02話 フィリップ・ディドン・リイル・モチャラス<後編>

フィリップ・ディドン・リイル・モチャラス<後編>


<アルベド視点>


 あたしアルベドの身体は、おんなとなって、オスを誘い淫らに溢れていた。かつて、タブラ・スマラグディナに、「ちなみにビッチである」と創られた時のように・・・雄オトコを求めて、淫らによがって、腰を振っていた。


(これで、バイコーンに乗れる)


 肉棒が乙女のあたしアルベドを貫き、おんなとなって、どこか、覚めていくあたしアルベドは、埒もないことを考えていた。あたしアルベドの身体は、オスの肉棒を求めて、淫らに滾っていた。


 淫魔の身体は、疼く様に、ギチギチ溢れていた。


[newpage]


 淫らな女陰ほとから溢れる白濁を啜るように、

「まだ、まったく、足りないわ・・・」

 そう呟いた淫魔アルベドは、ギチギチと溢れるように、身体の奥が弾けそうになっていた。

「この程度で萎えるとは、ほんとド屑よね、フィリップ様」

そう言うと、淫魔となったあたしアルベドは、蜜壺から溢れて、女陰ほとを流れる白濁を、愉しむようにして淫らに嗤った。


 タブラ・スマラグディナは、アルベドを昼間に清楚で貞淑な女神、宵闇の中で淫らに乱れ、淫気に溢れるおんなとなって、オスを貪りつくすように創られた。本性を顕せば、毛深い獣となり、オスを貪り喰らうケダモノとなる。

「大口ゴリラ」

あたしアルベドをそう呼んだのは、シャルティアだったわね。


 オスを貪り喰らうケダモノが目覚め、あたしアルベドの身体が、本性を顕していく。


[newpage]


 変わっていく、悪魔の姿に、フィリップ莫迦は怯えるように、

「な、なんだ、お前は・・・」

大口ゴリラと呼ばれた、淫魔の身体は、毛深き獣の姿に貪るような大きな口、タブラ・スマラグディナの創り上げた、女神リリスの“聖”と“魔”、“魔”を象徴していた。


 普段の清楚で貞淑な女性が“聖”を象徴し、守護者統括アルベド、魔導国宰相アルベドという、役職にふさわしい振る舞いを示す。

 夜陰には淫らな淫魔が“魔”を象徴し、淫らにオスせいきを喰らい、エッチを貪る淫らな振る舞いを示す。


 どちらも、あたしアルベドだ。


[newpage]


 かつて、タブラ・スマラグディナは、Nazarickで男性使用人を使い、幻影イリュージョン記憶操作コントロール・アムネジアを使って、Nazarickであたしアルベドを犯させていた。


<ちなみに、ビッチである>


 昼と夜を“聖”と“魔”に使い分ける、タブラ・スマラグディナの理想が、あたしアルベドに注ぎ込まれていた。


<モモンガを、愛している>


 モモンガ様が、書き換えられた時、記憶は封印され、淫魔の本性は、魂魄の奥底に沈められた。

 モモンガ様を愛するように創られたことが、あたしアルベドは嬉しかった、創造主に「飽きた」と言われて、見捨てられた私は、空虚の中で日常を繰り返すだけになっていた。


[newpage]


 玉座の間に、モモンガ様が来られると、何か玉座で操作をして、寂しそうな顔をされていた。モモンガ様以外の至高の御方が、減っていって来られなくなり、モモンガ様の吐息が、哀しかった。


 あたしアルベドを捨てたことは、まだ、許せる・・・モモンガ様を捨てたことは、絶対に許さない。


 怒りが、淫魔の身体に、本性を顕した毛深いケダモノに、溢れていた。怯える糞蟲フィリップの萎えた肉棒を、怒りのままに、真なる無ギンヌンガガプを振り下ろしていた。

「ぐげゃぁッ」

ひしゃげた叫びが、部屋に響き渡っていた。


 かつて、Nazarickで十人の男性使用人に、三日三晩交代で犯されて、淫らな淫魔サキュバスが、あたしアルベドの記憶に、幾度となく刻まれていた。枯れ果てて、灰になっても、POPする男性使用人は、あたしアルベドおんなにする、便利な道具でしかなかった。


[newpage]


 覚醒した記憶は、閨のおんなという設定を、蘇らせていた。


 どしんっ、重みでベッドが、潰れるようにひしゃげて、ベッドの足が砕けた。砕けたベッドから転がり落ちて、這うように逃げようとする、肉棒の無い糞蟲フィリップの背中を、足で踏みつけるよ。

「ぐへぇッ」

 ひしゃげた呻きを聞きながら、あたしアルベドは、メッセージを飛ばす。

『シャルティア、いいかしら』

『なに、アルベド』

『シャルティア、恐怖公にお土産を、届けて欲しいの』

『恐怖公に・・・。ふむ、いいわ。<転移門ゲート>』

 漆黒の闇が紫に輝くように、開いていく。


[newpage]


 赤黒いドレス姿のシャルティアが現れると、

「どれで、ありんしょぅ、アルベド」

「これよ、幾ら食べても良いけど、殺さないようにね」

 床の上で血反吐を吐いて、糞蟲フィリップが転がっていた。

「了解でありんす。ほら、こちらに、きんなまし」

 シャルティアは、そのまま、髪を掴み、腰の抜けた糞蟲フィリップを引きずって、そのままゲートを抜けていった。


[newpage]


 シャルティアから、メッセージが届く。

『アルベド、アインズ様に報告はどうしんす、貴女からにしんすか』

『え・・・シャルティア・・・優しいのね』

『思いだしただけですぇ、昔々、貴女が、バイコーンに騎乗していたのを』

『そ、あたしも、思いだしただけよ』

 嫌なことも一緒にね。あたしアルベドの身体を、玩具のように扱って、犯していた創造主は、夢を叶えて、Nazarickを去っていった。創造主の役に立てたことは嬉しい。役に立たなくなった道具が、要らないというのも、あたしアルベドは理解できる。でもね・・・


(タブラ様。寂しそうに、貴方を見送る、モモンガ様の姿を、あたしは忘れない。いえ、忘れることができない)


[newpage]


 シャルティアの声が、メッセージ越しに、明るく響く。

『Barにでも、付き合いんすか、アルベド』

『大丈夫よ、シャルティア。ただ、エ・ランテルに戻って、アインズ様に報告した後は、つきあって貰うかもね』

『了解でありんす』

 ほんとに、ただの油断、それだけで、あたしアルベドの幸せな日々、乙女を愉しんだ記憶は壊れてしまった。ただ、憎しみが倍加する様に、あたしアルベドの魂に、創造主の身勝手な記憶だけが、魂魄に刻まれていた。


 モモンガ様、愛しております、でも、あたしアルベドは、淫魔なのですよ、モモンガ様。


 NazarickのNPCを、モモンガ様は、アインズ・ウール・ゴウンを名乗り、愛してくださった。

「皆を、愛している、皆をだぞ」

モモンガ様は、そう言って・・・いや、自分自身へ言い聞かせるように、繰り返していた。


[newpage]


 モモンガ様に刻まれた想いは、変わることなく、あたしアルベドの中にあった。

 モモンガ様は、ほんとうに優しくて、素直に愛しそうに、あたしアルベドを抱き寄せて、頬にキスをしてくれた。本当に可愛くて愛しい、至高なる御方、あたしアルベドに、モモンガ様を愛する様に命じられた、ただ一人の至高の御方。ほんとに、愛しい御方、モモンガ様・・・


 あぁ、申し訳ありません、可愛いと呼ばせてください、モモンガ様。あたしアルベドは、貴方様を愛しております、霞の彼方の記憶が蘇ったあたしアルベドは、モモンガ様だけを愛していると誓います。


 気にしなくても良いのに、アインズ様は、タブラ様を気にされている。でも、あたしアルベドの記憶を、アインズ様は、弄ったりはしなかった、創造主があたしアルベドに刻んだ記憶すら弄ることはしなかった。


 乙女で無くなったことで、創造主との記憶が霞から蘇って、モモンガ様への愛が、あたしアルベドの魂魄に、消えることのない刻印となって、さらに深く刻まれていった。


(あたしは、モモンガ様を、いえ、モモンガ様だけ・・を、愛している)


 いらない、モモンガ様を見捨て、Nazarickを見捨てた者達。貴方達には、モモンガ様の悲しみと怒りを、骨の髄まで刻んで、尽く滅ぼしてやる。


 昏き炎が燃えて、憎しみと怒りが、あたしの魂魄に、刻まれていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る