1話完結の短編でありながら、読後に何とも言えない深い余韻と知的興奮を残してくれる素晴らしいミステリー作品です。「現実とは何か?」という問いを軸に、無駄のない緊密な構成と洗練された筆致で一気に読ませてくれます。短いページ数の中にミステリーとしての醍醐味がギュッと詰まっており、最後の数行にたどり着いたとき、思わずもう一度最初から読み返したくなるような巧みな仕掛けに魅了されました。
妻と医者、どっちの言葉を信じればいいんだろう……と読んでいたら、まさかのコールドスリープ! 一度ほっとしかけたところで、また「誰も信用するな」が出てきてゾッとしました。目が覚めたはずなのに、今いる場所まで怪しく感じてしまいますね。あとがきで答えは決めてあると知ると、それも聞いてみたくなりました(笑)
これまでの作品でも「おもしろい」とか「たのしかった」とかはあったけれど、これは「凄味」を感じますね。ショートストーリーでここまで……いや、ショートストーリーだからこその切れ味と凄味なのか……ミステリー好きさんは読んで損なしです!
あなたが自認している視界は現実?主人公が目にしているのは一体…『誰も信用するな』