第002話 幼なじみ

座敷に2人が入るとハットが「風太も来れたんや、おまえ何かと忙しいからあえて誘わへんかってんけど」と声をかけてきたので、風太は予定がない時もあると告げて座った。


そして、みんなで集まるのは久しぶりという乾杯で飲み会が始まり、何気ないことやそれぞれの近況などを話していると、ハットが風太に話を振ってきた。


「今日はたまたま用がなかったんか?」

「そうやな」

「えっ、ハット知らんの?」

「知らんて、何をや雅?」

「風太、女と別れたんやって」

「はぁ~、この間飲みに行った時、そんなんゆーてへんかったやないか、オイ!」

「あぁ、あの時はまだ別れてなかったからな」

「おまえ付き合いだして3ヶ月ぐらいとちゃうんか、いつ別れたんや?」

「先週やな」

「そら俺も知らんわ」

「あたしらとこうやって会う時って、風太“毎回”違う子やんな!」

「そうそう」

「好きでそーなっとんと、ちゃうからな!」そう風太が加奈と蘭に告げると、ハットが長続きしないのは風太の性格も1つの原因だと述べた。


それはやはり誰にでも優しいところで、魅力でもあるがマイナスな部分でもあるという。


好きで付き合った相手が、他の女性にも優しくしているところを見てしまうと、嫉妬して心配になるのは当然で、そういう気持ちを少し理解することが必要だと伝えた。


「おまえ、愛の神さんにでもなったつもりか」

「ハットそんなこと言えるんや。でも、この中では1番気配りができると思うよな~」

「加奈がいう通り、マメやしな……それは誰かには無いかも」

「うんうん、誰かにはね……」

「ケンボー、雅、その誰かって、俺のことでしょうかね?」

「風太とはゆーてないで」

「そうや」

「はいはい、俺と違ってハットは思いやりがあって、女心だけじゃなく誰の気持ちもよく分かってんなぁ~って、俺もそう思うわ」

「おまえもそんなことを思ってたんや、以外。俺、やれる奴やから!」

「それ、自分で言うヤツちゃうからね!」と、蘭にツッこまれてその場は笑いに包まれた。


その後も恋愛話は続き、それぞれのことを話し合っていた。現在、恋人が居るのはケンボーと加奈で、他の者は恋人は居ないのだが、まだ1度も恋愛経験がないのが雅なのだ。


そこにみんなは興味を持ち「これまでに好きになったことは?好きな感じの人ってどんな人?・告白されたことはないの?・どうなん?」と、集中攻撃されたのであった。


雅は困った感じで「ハハハッ」と苦笑いを浮かべながら、好きになったことはなく、好きなタイプも分からないし、告白されたことはあるのだが、それは女の子からだったと答えた。


「そうそう、3人から告白されたやんな」

「あたしと加奈も、高校の時に相談されたことあったよね」

「そんなんあったんや、初耳やな~。でも分かる気がするわ!」

「どういうこと、ぷーたろう!」

「そのままやないか。化粧もせえへんし、服装もジーパンにシャツにブルゾン、バイクを転がしてその雰囲気、女の“お”の字もないやろ」そう風太が言うと、皆の視線は風太に集まり、「そう思ってるのは俺だけか?」と尋ねた。


すると皆は、納得した感じでその視線を雅に送り、本人は「えっ!」と驚き、「それは確かにね……」と加奈が口を開いた。


「ほらほら、なぁ、そう思ってんのは俺だけちゃうちゅ~ねん雅!」

「ぷーたろうの意見はともかく、加奈も蘭もそう思ってたん?」

「まぁ~男にモテる感じというか、男が近寄りがたいというか……ねぇ蘭」

「えっ!あぁ~……そういう感じはあるわよね~」

「えぇ~ショックやわ~」

「何がショックや、俺の意見が的を得てるてこっちゃ」

「あたしも女やねんでぷーたろう。胸もそれなりにあるし可愛いブラもしてるねんで!」

「無理矢理に女を醸し出そうとすな!」

「魅せたろか、ほらほらプーたろう、観てみぃ」と言って、雅が風太に向かってTシャツの首元を引っ張って魅せようとしたので、「アホかっ!」と風太はツッこんだ。


「サービスしたったのに」

「何がサービスや!変に女を魅せるな、気持ち悪い!」

「それってひどくない、あたしのことを良いと思ってる男も居るかもしれへんやんか」

「そうかもな……まぁ、世の中には変わり者も居るからな」そう言って風太はビールを飲み干すと、変な空気になってることに気付き、見渡すと“ジーッ”という冷ややかな視線で観られていた。


風太は(あっ!)と思い、「あの~変わり者やなく、人にはそれぞれ好みがあるってこと……ゴメン、ちょっと言い間違えた」と、謝ったら皆は“うんうん”と頷いて、何もなかったことのようにその場は過ぎた。


だが、風太が言葉数の少ないケンボーに「何かおまえの意見はないんか?」と話し掛けた。


「俺は別にないけどな」

「付き合いだした時から、当たり障りない感じやなおまえは」

「ハットのいう通りや、何か言いたいことはないんか?」

「何もない、俺はここに居るみんながおもろい話しをして、それを聞くだけで満足やって……でも……」

「何やケンボー?」

「……雅って、綺麗やと思うねんけどな」その言葉を聞いた風太がハットを見ると目が合い、(やはり思いは俺と同じのようやな!)そう思い、その視線を加奈と蘭に向けると同じように目が合い、(あんたらもやないか!)と、そう思う風太であった。


その間の雅とケンボーの会話は……


「ケンボーは分かってんな~」

「そんなことないけど、素直な気持ちや」

「いや~、ケンボーがえぇ女を分かるってことやって!」

「雅はホンマに綺麗やで」とういう会話を、それ以外の者は黙って聴いていたのだ。


その光景を見ながら、風太が小声でハットに語りかけた。


「あいつ、雅のこと好きなんかな?」

「いや~、どうやろ?でも“綺麗”やってゆーてるからな?」

「なんか触れたら面倒臭さそうやから、ここはスルーしとこ」

「そうやな、触らぬ神になんとやらってゆーからな」そう会話をしてると、雅から“何をコソコソ”話しをしているのだと言われ、2人は“別に何も”と答えた。


すると蘭が「そうやねんな~」と呟き、加奈が問いかけた。


「蘭、何がよ?」

「運動神経が良くってボーイッシュやけど、綺麗やしスタイルも良いと思うわ」

「そうやねんなぁ~……でも、宝の持ち腐れっていうか……」

「持ち腐れってのは引っかかるけど、蘭も加奈も分かってるやん!どうよぷーたろう、女の“お”の字がないってゆーてたけど、あたしにも“お”の字はあったやろ!」

「“お”でも、横にある“点”や点!」

「ひどっ!」と言った後に、雅が“二ヤッ”としながら風太を見た。

「……何やねん?」

「ほら、好きな子には意地悪するってゆーやんかぁ~」

「でっ、それが何ねん?」

「ひょっとしてぷーたろう、あたしのことを“女”として見とったりして!……もぉ~嫌やわ~」

「そんなん見たことありませんけど!」

「そない照れんでもぉ~」そう悪ふざけして風太を茶化し、その場を笑で包む雅であった。


少し落ち着いたところで、加奈が雅に“服装はどうにかした方が?”と問いかけると、“モデル”もこの様な格好をしていると自信ありげに述べた。


その言葉を聞き皆は“えっ!”という表情を浮かべ、風太は心の中で(あなたは、誰と……)と思うのであ~る。


話題を仕切り直して、風太が雅に“本当”に男性に告白されたり、自分が好きになって告白したことはないのか?と尋ねた。


「ないわ~」

「ホンマか~?……俺だけが知らんのとちゃうやろな?」

「風太、ないから」

「加奈さん、そう言いますけど、何かご存知なんでは?」

「残念やけど……あったと思う?」と言ながら加奈が雅を見ると、皆も雅のことを“ジーッ”と見たのだ。


「なっ、なんなんよ、みんな?」

「加奈、訊いた俺が悪かった」

「分かってくれたら、それでえぇわ」その言葉を聞き、皆は“うんうん”と頷いた。


「何よ?女として、あたしに欠点があるってゆーの?」

「欠点だらけやないかいっ!」

「どこが?どこがよぷーたろう、ほら、ゆーてみぃ」

「俺に訊くな!他に訊いてくれ」

「やって……でっ、ほらみんな、遠慮なくゆーてみて!」と尋ねる雅だったが、皆は困った感じで誤魔化していたのだった。


その光景を眺めながら(あなた“女”としての実感はあるのね~……ややこしい)と、思う風太であ~る。


みんなは上手に雅に対応していたので、本人も少し納得したようではあったが、自分の胸を触りながら「コレだけでは、アカンのかなぁ~」と呟いていた雅であった。

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