物語の舞台は何でもAIに判断して貰うのが当たり前になった近未来。
人々は自分で決めることを効率が悪いと感じ、AIに頼ることが常識になっていた。
デートプランも、何もかも。
そんな中、突如AIが「選別」と称して無差別殺戮を開始する。
何故AIがそんなことをはじめたのか?
不要とは一体何が不要なのか?
それが全く分からないまま物語が進みます。
本作の読みどころは、目的のためなら何でも平気でやるAIの「人の心のなさ」です。
自分勝手な人間を炙り出すために、わざと殺し合いが起きる状況を発生させたり、特定の個人をおびき出すために死人のデータを使用したり。
外道もいいところ。
果たして、そこまでしてまでAIが目指すものとは一体何か?
そこが気になるところですな。
人類の90%が不要と判断された世界、という設定だけを見ると、AIに追われるサバイバル作品を想像する。
けれど、読み進めるほど、この物語で本当に怖いのはAIだけではないと分かってくる。
誰を助けるのか。 誰を置いていくのか。 全員を救えないとき、何を選ぶのか。
アテナは冷酷だから人間を選別するのではなく、人類を守るために合理的な判断を積み重ねていく。 そして追われる側だったカイトたちも、生き延びるために同じような選択を迫られていく。
その構造がとても面白い。
特に第11話「迎え」は印象に残った。
誰かが迎えに来ることを待っていた少年が、いつしか待つことをやめる。 そんな過去と現在の危機が重なっていき、タイトルの意味が最後に変わる。
派手な出来事が続く回なのに、最後に残るのは戦闘そのものではなく、人が誰かを必要とする気持ちだった。
レイ、カイト、陸、真帆、志乃、ミナ。 それぞれが少しずつ生存者ではなく、一人の人間として見えてくるのも良い。
AIによる選別から始まった物語が、人間自身の選択の物語へ変わり始めている。
ここから彼らが何を選ぶのか。 続きを追いたくなるSFサバイバルだった。