第24話 日向
日向の保育園生活が始まった。
と同時に、孔雀の家事育児生活も始まった。
それは夢にまで見た幸せな生活だった。
岬の美容院は、9時開店のため比較的、朝が早い。
だから、孔雀は6時に起きて朝食の準備をして、
選択を干したり、もろもろの家事をする。
日向を起こし抱っこして、ミルクをあげる。
7時半ごろに岬は起床する。すっぴんでも十二分に綺麗である。
見とれている時間はない。
岬が朝食をすまし、身支度を整えている間に、日向を保育園に連れていく。
その時刻が、きっちり8時半なのだ。
岬も8時半に一緒に玄関から出る。
そして、「いってらっしゃい。」という。
岬は、「いってきます。」とほほ笑むが、新婚の時から、いや、出会った時から、
いってらっしゃいの『チュー』どころか、手さえも握ったことがない。
一緒に生活しているが、着替えている姿も見たことがないので、姿態、裸体も当然
たった一度もお目にかかったことがない。
51歳の孔雀と30歳の美女である岬の結婚の条件として、性的なことは一切しない。触れもしない、見ることもしない。と決められていた。
うかつに預貯金残高を話してしまった孔雀の唯一の後悔でもあったが、それによって手に入れられたのは、現在の幸せでもある。
孔雀は、今日も日向を抱っこひもで抱えたまま、岬と最寄りの駅で別れ、保育園へと向かった。
日向が孔雀の方を見て、無邪気に笑った。
「ぱぁぱ。」と日向が初めて言葉らしい言葉を発した。
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