短歌1首ごとに、
3、4行の散文詩が添えられていて、
その距離感が不即不離というのでしょうか、
絶妙な息づかいが感じられる作品です。
恋の記憶の中の喜びと痛みが、
短歌と散文詩の連弾で描かれていて、
その余韻と余情には、
胸を打つものがあります。
5首目。
さよならという花束買いにいくから、もう少しだけ話そうか
これは切ない。
恋の終わりの場面でしょうが、切なすぎる――。
上の句の「さよならという花束買いにいく」が、
さりげなけれど美しい比喩です。
そしてそれを買いにいくからという、
理由になっていない理由が眩暈のように揺らめきながら、
「もう少しだけ話そうか」へ流れ込んでいく、
情感豊かなこの1首は特に痺れました。
それでも、
最後の7首目では、
「つなぐ手の寂しさ好きだった」と、
過去を抱きながらも未来へ進もうとする気配が感じられて、
決して暗くなりすぎない着地に救われる思いがしました。
恋とは何か?
愛とは何か?
改めて考えさせられる、
回想の中の君への、
御しがたい思いを繊細に紡いだ短歌集になっています。
あるいは、
恋愛短編として、
味わってみるのもいいのかもしれません。
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