第29話 ビールと唐揚げ

まだまだ縁日は、賑わっていた


航平

「何食べる?」


夏帆

「んーー、たこ焼きはさっき優香と半分こで食べたから… 焼そばにしようかなぁ それと焼き鳥と…」


航平

「はは笑、いろいろ候補がありそうだな

じゃあ、とりあえず店、見て回ろうか」


…あの時も、航平はそういって

優しく私の手を引いてくれた

 

なかなか決まらない私を急かしたりせず

私が、これ!と決めるまで付き合ってくれた


航平

「俺、決めた! ここの唐揚げにする

夏帆も食べる?」


夏帆

「うん、食べる」


航平

「じゃあ…お兄さん、唐揚げ2パックもらえる?」


店主

「はーい、あ、航平さんじゃないですか?

おつかれっす!」


航平

「おぅ、おつかれ! 売れ行き良さそうじゃん

良かったな」


店主

「航平さんのアドバイスのおかげっす

去年よりはるかに売れてるんで」



夏祭りのミーティングのとき…

昨年初めて祭りに参加したが、売り上げが伸びなかったと店主がぼやいていた


ここの唐揚げは美味しいが、一つが大き過ぎる

それが売りなのだが、縁日では食べにくい

なので、少し小さくして数を増やしたほうが良さそうに航平は思った



航平

「いや…俺は


『縁日は、立ち食いになることもあるし

子どもが買いに来ることもあるし

一つ買って分け合う人もいるだろ?』


って言っただけだ」


「俺のおかげじゃない

君がお客さんのことを思って努力したからだよ」



店主はへへっと笑って


「5個おまけしときますね!」とサービスしてくれた


航平

「いや、いいって笑」


店主

「いやいや、これくらいじゃ足りないくらいっす笑」


航平は店主の好意を素直に受け取ることにした

航平

「なんか…大量だな笑」


夏帆

「でも、すごく美味しそう

私、これだけでいいかも」


航平

「じゃあっと、あ、あそこのベンチ行こうか?

夏帆、座っててくれる?

俺、飲み物買ってくるわ

ビールでいい?」


夏帆

「あ、私行くから…」


航平

「いや、ここで待ってて

俺が行く

俺が戻るまで、唐揚げ食べるなよ笑?」


夏帆

「食べるわけないじゃん笑笑

もう…じゃあ早く買ってきてよ笑」


航平は「わかってるよ笑」そう言いながら

縁日に戻って行った


夏帆はその背中を見つめながら

航平の仕事ぶりに自分を重ねた


(私なら…

こうした方がいいと…

まるでそれが正論のように言ってしまったかもしれない…)



「航平…さすがだね」


夏帆はそうつぶやいて微笑んだ



航平がビールを持って戻ってきた


航平

「さ、食べよーぜ!!」


夏帆

「うん、航平…本当にありがとう」



航平は夏帆にビールを渡すと

夏帆の頭をポンポンっと軽く叩いた



やはり、ビールと唐揚げは最高の相性だった



夏帆

「航平…私、明日東京に戻るよ」




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