第5話までを拝読しました。パンに蜂蜜を細く垂らし、頼まれてもいない折りたたみ傘を鞄に押し込む航の朝が、とても丁寧に書かれています。だからこそ第2話で、洗濯物の山を前に「ごめん」を二度繰り返す場面が苦しく、テーブルの端に伏せたままの映画のチラシが、言えなかった誘いの重さをそのまま背負っているのが印象的でした。改札で袖口に触れた指先を、気遣いとも習慣とも読めてしまうという航の迷いは、尽くす側の人なら覚えがある感情だと思います。誓約書の条文を最後まで読まずに署名してしまう第5話の静かな怖さも含めて、ここから先を見届けたくなる作品です。