「ひつまぶし」なる食べ物があると聞きます。
何でも、1つのメニューで3通りの食べ方があるのだとか。
元は同じなのに、幾通りもの味わい方があるなんて、
この物語も正に、それと同じではないでしょうか?
最初の主人公の、熱くて刺激的なハードボイルドの辛さ。
次の主人公の、冷静な調査による苦み走ったミステリアスな展開。
三番目の主人公では、スリルとサスペンスが満載で酸味が効いています。
今、レビューを書いている段階では33話。
クライマックス感が漂っています。
このまま、あいつが黒幕で、順当に終わりへとなだれ込むのか。
それとも、意外な結末が待っているのか。
気になって、お箸が止まりません。
事故に遭い、目覚めてみれば見ず知らずの他人と脳内で『同居』する羽目になってしまった三人。そして彼らが宿る肉体もまた正体不明の人物で……? という奇想天外な幕開けを見せるSFミステリー。
根幹設定にこそ驚かされるものの、そこから始まる手探りの謎解き、三人それぞれの特技と身分を活かした活躍、そして頭の中での会話を通じて主人公達が絆を得ていく展開はミステリーとして非常に満足感の高いものです。
特にキャラクターの魅力が際立っていて、不審に思っていた『同居人』達とそれぞれが打ち解けていく中で、読者も自然と彼らに惹かれ、謎を追う様を応援したくなってきます。
まさに異色のミステリー、SFとしても謎解きとしても一味違う逸品を読みたい方にお勧めです。