第2話 天使
小さな村で生まれ育った。自分はグレンという名前だった。
「なんで来世があるんだよ。もう生きていたくないよ。生きていて何も楽しくないんだよ。早く殺してくれよ。頼むから。今すぐ死にたい死にたい死にたい。お願いだから、自分の首を折ってくれ」
そんなことを言いながら成長していく自分は、きっとすさまじく不気味だっただろう。村の子ども達からは距離を置かれていた。
でもさあ。仕方がないじゃん。もう、生きていても何も楽しくないんだよ。
生きることの何が楽しいんだよ。言ってみろよ。努力なんか何も報われないんだぞ。真面目に努力した末、努力が実って褒められて讃えられて、大金持ちになって幸せに暮らしましただなんて、夢見てんじゃねえぞ。大金持ちどころか、普通に暮らすことすら難しいよ。
それに、どうせ最期は苦しんで死ぬだけの人生だぞ。な゛ぁ゛。この世には地獄しかねえぞ。ふざけんじゃねえ。
「ああでも、ご飯を食べるときは、少し幸せかな」
自分はそう言いつつ、親の作ったご飯を食べていた。めちゃくちゃおいしいとは言えないけれど、親の愛を感じられてすごく幸せだ。
なお、両親は早死にした。ふざけるな。
せめて自分が一人立ちできるようになるまで、待ってくれよ。頼むよ。
「自分、もう生きていけない。家事も仕事も、全部全部できないよ。この世界の仕事、どれもこれも難しくて、すぐクビになってしまうし。自分に一人暮らしなんかできない。親がお金を少し残してくれたけれど、自分が管理できるわけないじゃん。こんなん、泥棒にお金を奪われて終わりだよ。そもそも、遺産の相続手続きとかも分からないよ。自分も親の後を追って死ぬ」
と言って、自分は自殺しようと試みた。前世と同じく、家で首吊りをしようとしたんだ。
でも、できなかった。自分の自殺は阻止されたんだ。
「グレン様。もう少しだけ生きましょうよ。何かいいことがあるかもしれないじゃないですか」
そう言ってきたのは、金髪ロングヘアーと金色の瞳をもつ美少女だった。美少女は真っ白な翼を生やしていて、恐らく天使のようだった。
自分の家に、天使が不法侵入してきたらしかった。何してくれているんだ。
というか、人間じゃないくせに生意気なことを言うなよ。天使なんかに、人間の苦しみが分かるか。ふざけんな。大っ嫌いだ。地獄に落ちろ。
「じゃあ、なんですか。あなたが僕を救ってくれるって言うのですかっ」
自分は叫んだ。すっごくイライラしていた。怒りしか湧いてこなかった。
すると、その天使は晴れやかに微笑んだ。
「はい。救いましょう。私は天使なのですから」
天使はそう言って笑った。どうにも信用できない笑みだった。
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