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  • 鯨の唄は聴かないへの応援コメント

    Xより失礼します。

    拝読しました!

    辛口希望とのことなので、少し踏み込んで書かせていただきます。

    まず、心情描写と情景描写は十分に出来ていると思います。

    海や音、主人公の感覚も想像しやすく、文章そのものにも美しさがあります。

    特に、日常の細かな動作へ心情を重ねながら、一定の温度を保ったまま長く描けるところは、この作品の強みだと感じました。

    ここは少し変な褒め方になりますが、**「冗長さを成立させるのが上手い」**と思います。

    同じ場所や感情に長く留まっていても文章そのものが崩れず、主人公の内側へゆっくり沈んでいける。

    これは簡単なことではないと思います。

    ただ、短編として読んだときに気になったのは、その強みをどこで使うのかでした。

    心情、情景、日常動作をほぼ同じ密度で丁寧に描いているため、読者を立ち止まらせたい重要な場面と、次の場面へ運ぶための接続部分が、同じ速度で流れているように感じるところがあります。

    主人公の孤独や現在の精神状態などは比較的早い段階で伝わるのですが、その後も別の動作や情景を使って同じ方向の情報が補強されるため、「ここはもう十分伝わったので、次に何が動くのだろう?」と思う場面がありました。

    また、52Hzの鯨、海、届かない声、主人公の孤独――それぞれはしっかり伝わります。

    一方で、それらを短編全体としてどう繋げて読むのかは、かなり読者側の想像力に委ねられている印象でした。

    想像する余白として楽しめる方もいると思います。

    ただ、一般的な読者さんに読んでもらった場合、文章や雰囲気は伝わっても、最終的に「綺麗だったけど、どういう話だったんだろう?」で終わってしまう可能性もあるように思います。

    あと細かいところでは、場面転換が少し埋もれて感じる箇所がありました。

    私自身、夢から目覚めた場面で一度「あれ、いつベッドに入ったっけ?」となり、読み返すとちゃんと書いてありました。

    情報が不足しているのではなく、情景・心情・日常動作が同じ密度で続くため、重要な状態変化まで周囲の文章に溶け込んでしまったのだと思います。

    明確な空行や区切りなど、読者が現在地を確認できる標識があると追いやすそうです。

    なので、「もっと描写を増やした方がいい」とは全く思いません。

    むしろ逆です。

    心情描写も情景描写も、美しい文章を書く力も、すでに強みとして成立していると思います。

    次に意識すると面白そうなのは、

    「ここでは読者をじっくり立ち止まらせる」

    「ここでは次の出来事まで一気に運ぶ」

    と、その描写の密度を使い分けることではないでしょうか。

    長く描いても読ませられる方だからこそ、長く描く場所を選べるようになると、その冗長さ自体がかなり強い武器になると思います。

    心情や情景を描く力はあります。

    あとは、その強みを使ってどう読者さんと一緒に最後まで走るか。

    短編としてのフックや転換、全体を束ねる一本の線がもう少し見えるようになると、かなり強い作品になるのではないかと感じました。

    辛口とのことで色々書きましたが、読ませていただきありがとうございました!