この作品の魅力は、大切な人を失った悲しみを消すのではなく、それを抱えたまま前へ進んでいく主人公ノクトの姿にあると思います。
特に印象に残ったのが、姉アイリーンの記憶と人格を受け継いだ《ナイトスコーピオン》とノクトが出会うエピソードです。
そこにいるのは蘇った姉本人ではなく、あくまで記録された人格を持つ魔導体です。それでも、ノクトの頬へ身体を寄せる仕草には確かにアイリーンらしさが残っていて、失った人にはもう会えないという現実と、それでも残されたものはあるという希望が同時に描かれているように感じました。
ノクトは姉の死をきっかけに強くなることを決意し、やがて姉と同じクライメシスへ入り、彼女が消息を絶った島へ向かいます。しかし、単なる復讐や仇討ちの物語ではなく、エイトやハルジオをはじめとする人々との繋がりによって、少しずつ「生きて進むための強さ」を身につけていくところが印象的です。
タイトルにある「胸の灯火」という言葉にも通じるように、喪失したものを忘れるのではなく、それを自分の中に残したまま歩き続けるというテーマが、物語全体をしっかり支えているように思います。
序盤までの紹介となりますが、ノクトが姉の死の真相と幻獣ハバキネスへ近づく中で、この灯火が彼をどこへ導いていくのか、これからも追いかけて行きたいと思います