第2話 待ち合わせの場所
約束した待ち合わせ当日の夜、私は電話で指定された集合場所を探して、通りをうろうろしていた。
電話口の男は、居酒屋の向かいだと言っていた。
それらしき店は見つかったものの、その向こう側にあるのはだだっ広い駐車場だけだった。
私はあせりながらもあちこち探し歩いてみたが、通りは民家が立ち並ぶばかり。
すでに集合時刻は過ぎている。
急がなければ。
その日はあいにくの雨模様で、ぽつぽつと小雨が降ってきていた。
傘を持たなかった私は、しだいに前髪からしずくがしたたり落ちるほど濡れ始めていた。
事務所のような建物を想像していた。
しかし待ち合わせの場所はそうではなかったようだ。
先ほどの駐車場の真ん中で、数人の男が身を寄せて突っ立っている。
こんな時刻に人気のない場所で、大の大人が数人でたむろっている姿は、かなり異様な光景だった。
多分、あれがそうだ。
私は様子を伺いながら、その集団に近づいてみた。
自分と同じ年代くらいの若者が四人と、明らかに歳の離れた中年の男が一人。
中年の男は、四人に向かって何やら説明をしているようだった。
「あの……」
私の声に気づき、皆が一斉に振り返る。
「前田……君か?」
中年の男は、手に持っていた紙に目をやり、そう言った。
威圧感のある声。
電話で喋った男に間違いない。
短く刈り込んだ髪型に、ノーネクタイのスーツ姿。
深く刻まれた目尻の皺が、顔の印象を一層いかめしいものにさせていた。
「遅れてしまってすみませんでした」
怒られることを覚悟しながら集団の中にまぎれこむ。
しかし中年の男は、そんな私を意に介することなく、威勢のいい声で喋り出した。
「よし、これで全員揃ったな。じゃあこれから現場に向かうんで、俺についてきてくれ」
男はそう言うと、後ろに停めてある白い大きなワゴン車の方へと歩き始めた。
私を含めた五人の若者は、無言のままその後ろをぞろぞろとついて行く。
やはり普通の仕事ではなさそうだ。
私は漠然とそう感じた。
なんとなくではあるが、あの男からは『問答無用』というような雰囲気が漂っている。
この段になっても、これからどこに行くのか、何をするのかすら知らされていない。
心臓の鼓動が幾分早まってきたのを感じ、私はワゴン車に乗り込む彼らの顔を、気づかれぬよう覗き見た。
これから共に仕事をする人達だ。
皆一様に不安そうな表情をしている。
きっと同じ気持ちなのだろう。
なんとなく性格も境遇も自分と似通った人達の集まりのように見える。
ただその中に一人だけ、髪の毛を茶色に染め、気の強そうな顔をした若者がいる。
正直言って、気が合いそうにない。
なるべく関わらないようにしよう。
そんなことを考えながら最後に乗り込んだ私は、二列目のシートに腰を下ろし、ゆっくりとドアを閉めた。
中年の男は後部座席に乗った我々に声をかけることもなく、無言で車を発進させた。
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