何とも静謐な、それでいて美しい闇が
其処彼処に揺れては戦慄いている。
恰も童話の様な、民話の様な…天と地との
旧い神話。禁忌に触れた、否
敢えて触れなくても それ は。
民俗学のフィールドワークの旅へと出た
主人公は、と或る村で 子供の作文 の様な
禁忌を拾う。
星が横に並んで一つの線になる時
地面の下から 迷った人 たちが出て来る
という。
黒い影と玉砂利を踏む音。
明かりを求めて徘徊する。
その影を見た者は、迷った人と同様に、又
地面の下へと還って行くのだ、と。
だから灯りをつけてはならないのだ、と。
美しい童話の様な世界から、恐ろしさが
顔を覗かせる。闇の中から鉤爪を伸ばす。
「どうして…!」
それは耳元で、此岸と彼岸との間に、
いつまでも響き渡る。