ナツガタリ応援になります。
当作は乱キスの続編となりますが、こちら単品でも存分に楽しめます。
乱キスは二人がどうやってくっつくまで。ですが、こちらは続編なので、くっついた二人が諸事情で離れることになり、そこで起きた事件をきっかけにさらに結びつきを深める話です。
キャラは乱キス読者であれば熟知しているので割愛。
物語のスタートは権志が知らない土地カリフォルニアで教授と共にとあるプロジェクトに参加するという遠距離恋愛。うわ、この時差だけで悲しい。
ただ、カリフォルニアと日本の時差を考慮すると、夜生活の泰樹と日中研究に励む権ちゃんともしかしてちょうどいい時間になるんじゃない?なんて邪推しつつ、じゃあイチャイチャ国際電話やった~~~!と思うじゃないですか。
でもよくみてください。
この作品のすごいところは、「平成」です。
今の時代を生きる人々は知らないんです……便利なLI〇Eはない、メールも電話も結構お金がかかる。海外で使える携帯電話の種類は少ない、結構ウイルスや詐欺にひっかかる。
勿論治安だって今ほどいいとは言えない。そんな黒い部分を匂わせることもなく、苦労していただろうなあと推測させる文章力に圧巻です。
なので、事件に巻き込まれる権ちゃんがどうなっているのか電話で聞かされてもすぐに行ける距離じゃないし、カリフォルニアなんてわかんねえよ!!状態の泰樹は気が気じゃありません。
本来ならば事件解決の時に彼をこんな危ないところにおいておけるか!と連れて帰りたいでしょうが、そこを踏みとどまって権ちゃんの気持ちを大事にするこの泰樹の器の広さったらもう…!!です。
途中出てくるルームメイトのパク様はたぶん、こちらの作品を読まれた方に絶大な人気を誇っていると思います。私はパク様とこのお二人との三角関係を妄想してニヤつきがとまりません。
事件の描写はぜひ本編で堪能してください。とある病気についてや、緊迫感ある部分、手の描写(ここ好き)、ひとつひとつのシーンが映像です。
浮かび上がる文章、見える描写。BLとしてではなく人間たちの織り成すヒューマンドラマという視点で見ると非常に面白いです。
最後の余韻がまた美しくて。権ちゃんの妹さんの計らいもかなりGJです。
乱キスから読むと繋がりが分かりやすいですが、こちら単品でもお勧めですよ!
乱キスロスの皆さんは一刻も早く読んだ方が良いです! そして乱キスを読んでない方でも吃驚するくらい充分楽しめるBL×サスペンス話です。
サスペンスが始まる前にも、権志の父親に隠していた交際がバレて父親VS泰樹の一触即発(ゴリゴリぶち当たり!)の話があり、もうスリル満点。権志の兄・昴志が本当に良い立ち回りをしてくれて、ドキドキするくらい腹芸が凄いのです。助演男優賞の一人目は彼に決まりました。実写化するなら若い頃の反町くんでお願いします。
そしてアメリカで起こった事件が凄い。権志が犯罪事件に巻き込まれます。彼を助けるべく恋人の泰樹が渡米します。無事なのかどうか心配が募る場面が切なくもあり尊くもあり。
権志と泰樹のお互い惹かれ合う、想い合う内面描写が、乱キスに続いて本当に素晴らしくって、読んでいるとぐるぐると呑まれていきます。
助演男優賞の二人目はアメリカに居るパクさん。本当に良い仕事を沢山してくれました。権志と泰樹の支えにいっぱいなってくれて、読んでると彼に思わず惚れてしまいます。
魅力的な脇役たちに固められて、BLのドキドキもあり、純愛の感動もあり、サスペンスのハラハラもあり、本当に読みごたえのあるお話です。ふだんBLを書かない作者さんの底力を見た思いがしました。