魔力で動かす機械が文明の根幹をなす世界。機械魔術師を養成する学校に入った主人公、草木コウジは入学早々、魔力の低さから底辺のDクラスに編入される。劣った者として他のクラスから見下されるDクラスで、コウジはどんな学生生活を送るのか――。
まずこの作品、Dクラスのダメ描写が結構な生々しい。別にAクラスはDクラスの生徒を魔術の的にしていいとかの世紀末的な格差はない。だが、授業のカルキュラムはAとDでは雲泥の差。実践的なレッスンを受けられるAクラスが順調に能力を伸ばしていく傍らで、Dクラスは座学ばかりで実習できず、実習ができないから座学の重要さも理解することができず、学習にもやる気が出ない。そんな負のスパイラルで差はますます開いていく。
学校で貼られたレッテルによって植えつけられる劣等意識が、本当に彼らをダメな人間に変えていく。そんな腐ったミカンたちの様子が実にリアルで胸に来る。
主人公の幼馴染、アミはAクラスに編入され、学校の空気に馴染んでいくにつれて、次第にDクラスの主人公との関りを避けるようになる。薄情なようだが、実際にその立場に立たされればその気持ちも分かるんだろうな……あいつらと関わっていると自分までダメになるって実感が。
もちろん、主人公たちがそんな境遇に甘んじていたら物語にならない。コウジたちは学校を上げて開催される「クラス対抗戦」でいい成績を残し、自分たちDクラスにに下されたダメな奴らという評価を覆そうと奮起することになる。
その意気や良し! とは思うが……
実際のところ個人の魔力が術機を稼働させる原動力になる以上、魔力生成量が有意に低いDクラスの生徒たちは、機械魔術師としての将来性がないという現実は何も変わらんのではとも思ってしまう。
競技の勝ち負けではない実社会での話としてね。
そこはどうにかなるのかな……?
どん底から立ち上がる話、雑草魂という言葉が好きな人におすすめの一作。