この作品は、「目」を題材として、見ること、見つめること、目を伏せることを通して、親密さと距離、命名される痛み、親子の時間、自己と他者の関係などを詠んだ連作短歌です。球場での初めての同行では、試合の決定的な一点の熱狂のなかに、同じ場所にいる高揚が伝わります。サンマと目が合う歌には、季節の食と初物の値段へのためらいが微笑を誘います。子どものミサンガは、父へ向かう愛情と、不揃いのミサンガが切れずにいてほしいと願うあたたかな、でもすこし切ない気持ちが沸き上がります。このように目を題材として、秋風のなか、すこし心をなでられるような、ちょっと切ないような愛情たっぷりの歌集です。みなさんもぜひどうぞ。