探求:真王獣

第16話〈警告者〉

リアはいきなり上官に呼び出せれていてなぜか少し離れた地下の牢獄に連れて行かれると途中だった。

「二日前に拘束したんだが口を開いても真王獣が~とかで要領を得なくてな、君ならそういう話もわかるだろう」

そういう上官の声は少し怯えが混ざっていた。一体何にそんな怯えているのだろうかと思いつつその「人」の牢獄についた。薄汚く鉄格子から差し込む薄い光で包まれる牢獄の中に一人女がいた。その長い髪は白色であった。中には一つの錆のついた椅子が用意されていた。それに座れと上官が指し示した。ゆっくりとその錆つきの椅子に座ったそして視線を上げると思わず自分の目を疑った。

(目が…)

その女は金色の瞳でこちらをピクリとも動かずじっと見ていた。すぐに疑問が洪水のように頭に流れ出てきた。自分の目がおかしいのかはたまた真王の外戚か何かか…どうしていいかわからずちらっと上官の横顔を見た。上官もまた焦っている様子で頼りにならなそうだ。唯一この状況で冷静なのは皮肉にもこれから質問する相手とは…そんな緊張した空気の中、女が始めに口を開いた。

「私はあなたに会うために来た…」

「…私に?」

リアは恐る恐る聞き返したがその気持とは裏腹に目の前の女はどこか懐かしさを思わせるような気がした。それがなぜか分からないがそう感じざるを得ない。

「そう…あなたのような真王獣を深く知ろうとする者にそれがどれほど危険か伝える〈警告者〉として。…あなたはそれを知らないのね…」

言い終わらないうちに外から一発の音が響いた。それは今まで聞いたことのないような鈍い音で、その何かが鉄格子をかすめる音も少し遅れて響いた。金属と金属を激しくぶつけたような鋭い音が響きそれがまもなく女の胸のあたりを貫通した。薄い暗闇の中赤黒い血が飛び散るのが見え、まもなくドサッと音を立てて倒れるのが横目に見えた。外からは草をガサガサとかき分ける音がだんだん遠ざかって聞こえた。その音が聞こえなくなるとそのまま牢獄は元の静寂を取り戻していた。しかしリアはしばらくの間、息をするのさえ恐ろしくその場に固まったように止まっていた。音が遠ざかり少しした後それまで必死に押さえていた心臓の動きがいきなりバクバク動き始めた。手足にどっと疲れが押し寄せてその場に尻もちをついた。

(今のは…)

飛び道具のようだが明らかに弓ではないし、かと言って石を投げただけでは人の体は貫通できない。突然猛烈な恐怖を覚え頭を抱えてブルブル震えた。あと少し前によっていたら自分も二撃目で撃ち抜かれていたかもしれない。その恐怖が骨の奥まで染み込み体を支配した。そのせいかその後のことは殆ど覚えていない。

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