物語全体を通じて何度も繰り返される「正しい判断」というフレーズが、精神崩壊のカウントダウン…。
最初は「夫の正しさ=自分の従属」だったものが、徐々に「自分なりの抵抗(正しくない判断)」へと揺らぎ、最終的には「狂気による破滅と解放(自分にとっての正しい判断)」へと変わっていく構成が素晴らしいです。
途中の、他人は絶対に笑えない自虐ギャグが痛々しさを助長します。
ラストシーンで鑑定留置へ行くことを選び、「これで家族や家から離れられる、望まない行為をしなくて済む」と安堵する姿は、まさにホラーでありながら、彼女にとっては唯一の逃げ道(正しい判断)であったという皮肉な救いが描かれていて、読後に強い余韻が残ります。
タイトル「正しい判断」が持つ意味が、読み進めるにつれてどんどん裏返っていく展開が秀逸で、短編小説として非常に完成度が高いと感じました。
素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました。
天才、ナカメグミ。
虜です。