――37.4℃。
微熱と呼ぶには、なんとも絶妙な体温。
けれど、この物語を読み始めてすぐに思いました。
――ああ、この熱。まだ上がる。
舞台は昼休みの保健室。
体調を崩してベッドに横になった風倉が、ぽつり、ぽつりとこぼしていくのは、クラスメイト・雨矢への愚痴。
……の、はずなのですが。
聞けば聞くほど、どうにも怪しい。
気になって。
腹が立って。
つい考えてしまって。
本人は必死に整理しようとしているのに、言葉の端々から別の“熱”がじわじわ漏れてくる。
その様子が、もう本当に可愛いのです。
そして雨矢。
この人がまた、距離の詰め方が絶妙。
何気ない一言。
視線。
近づく気配。
それらが重なるたびに、保健室の空気まで変わっていくようで、こちらまで妙に落ち着かなくなります。
大きな事件が起こるわけではありません。
けれど、誰かを特別に思う気持ちって、案外こういう小さなところからこぼれてしまうのかもしれない。
そんなことを思わせてくれる、甘くて、くすぐったくて、可愛い一話でした。
そして読み終えたあと、もう一度タイトルを見てみてください。
『熱の予感』
きっと最初に見たときより、少しだけ温度が上がって見えるはずです。
さて。
風倉の熱は、どこまで上がるのでしょう。
ぜひ、保健室という魅惑の空間で二人を見守ってみてください。