遠征から帰ったらなぜか皇弟になってた!みたいな軽めの成り上がりものを想像したんですが、中身はかなりしっかりした戦記ものでした🗡️
主人公は、没落した家と爵位を取り戻すために、とにかく上を目指していく人物。
ただ、圧倒的な力で敵を倒して出世するタイプではなくて、知識を使ったり、人と交渉したり、その場で何が必要なのかを考えながら少しずつ道を作っていくのがこの作品らしいです。
特に戦場に出てからは、戦闘そのものだけじゃなく、兵站や荷車、物資、人員の移動みたいな「戦争を実際に動かすための部分」がかなり出てきます。
英雄が剣を振るっている裏で、誰が飯を運ぶのか、どうやって負傷者を動かすのか。そういうところまで物語になるので、戦記ものとして読み応えがあります。
何でも完璧にこなす主人公ではなくて、頭は回るけど言い方を間違えたり、計算して動いたつもりが人間関係に情が入ったりする。その少し面倒くさいところが逆に人間っぽいd( ̄  ̄)。
出世して家を取り戻したいというかなり現実的な野望から始まった男が、どうやったらタイトルの“皇弟”なんてところまで行ってしまうのか。
派手な無双より、知恵と交渉と泥臭い積み重ねで立場を上げていく話が好きな人にはかなり合う戦記ファンタジーだと思います!
本作は、単なる華々しい無双劇や英雄譚ではありません。没落した実家と爵位を取り戻すため、士官学校から過酷な東部戦線へと身を投じた青年エルンストの、非常に泥臭く、しかしだからこそ熱い本格戦記ファンタジーです。
この作品の最大の魅力は、戦場のリアルな描写にあります。魔法や剣の派手な戦闘だけでなく、「遅れる部隊」「規格外の馬車」「負傷兵の輸送」「商人との交渉」といった、戦争を裏から支える兵站(ロジスティクス)や政治的な問題に焦点が当てられている点が非常に読み応えがあります。
主人公のエルンストは決して最初から完璧ではありません。目の前の山積みな課題に対して、時に失敗し、傷つきながらも一つずつ泥臭く解決していく姿に強く感情移入してしまいます。「ただ出世して家を再興したかっただけ」の彼が、その真摯な戦いと政治的立ち回りによって、最終的にどうして「皇帝の弟」という想像以上の地位へと上り詰めていくのか――その過程が緻密に描かれており、ページをめくる手が止まりません。
戦略、兵站、政治、そして重厚な立身出世譚が好きな方にはたまらない、読み応え抜群の傑作戦記です!続きの展開がとても楽しみです。