耽美な絵とゴシックホラーのインパクトを非常に重要視していて、吸血鬼ものらしい画作りを徹底して意識しているのがよく伝わってきます。
霧のロンドン、篝火の揺れる教会、割れた鏡とステンドグラス——場面ごとの美術設計がとにかく濃密で、黒いゴシックドレスで斧を操るゲルトルートは、漫画にした時に間違いなく映える画になりそうです。
血飛沫すら「グロテスクではなく耽美に」と指定する徹底ぶりに、作品の美意識が貫かれています。
何より、死んだ妹に成り代わろうとする吸血鬼の少女という設定が背徳的で、砂糖菓子のシーンでゲルトルートがジゼルに分かっているのに引っ張られてしまうところにぞくりとしました。
強いて言えば、カット指定が「1ページ1カット」に見える箇所が多く、実際の漫画に起こす時はもう少しコマを束ねる想定があると、作画側もテンポを掴みやすいかもしれません。
それでも、画で読ませる強度は十分に感じる一作です。
霧の都——かつての倫敦を舞台としたゴシック・ロマンス。
血と砂糖菓子と銀の弾丸で彩られた(擬似)姉妹百合の物語である本作は漫画原作コンテストに応募されているにふさわしい映像的な作品です。
偏愛と憎悪が入り乱れるゲルトルートのモノローグは美しく、時に挟まれる陰惨な描写や霧に包まれたかのような幻想的な記憶の光景とあいまって、なんとも儚く耽美に映ります。
セリフこそ少ないものの、それを補ってあまりある映像詩的な表現に意欲的に取り組まれていると感じました。
まさにメディアミックスされてこそ光る要素が満載で、同分野にチャレンジした方にもお勧めしたい一作。