アウトロー:交響詩「ドーパミン少年達よ」
篤永ぎゃ丸
主題
オーボエが響かせる【ラ(A)】に管楽器が同じスケールを重ね、弦楽器にも波及していく。オーケストラが演奏前に行うチューニング音を脳内に響かせ、薄暗い舞台裏に佇むのは
メガネに黒蝶ネクタイと燕尾服。演奏家のドレスコードに身を包み、たった一人で開演の時を待っている。
「
フッと手が脱力したと同時に客席から拍手が送られ、呼吸を整えた指揮者が楽団に起立を促した。鳴り止まない賛辞に後押しされながら、指揮者は左隣にいるヴァイオリン主席奏者と力強い握手を交わす。
『なあ、
Z席で控えめに手を叩く
『オレでも、こういう曲作れるかな』
緑色の瞳が
「
バサッと上着を脱ぎ捨て、蝶ネクタイを引き剥がし、
観客席に人の気配は全くない。それは望まれた公演ではない。それを承知の上で
「今に見せてやるよ、クソババア」
暴言を吐いたと同時に
「
右人差し指を
ミミファソ ソファミレ ドドレミ ミレレ
ひとつ、ひとつ、ていねいに弾かれるフレーズ。それは《よろこびの歌》の導入。作曲者はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン——【交響曲第九番 第四楽章】
その四分の四拍子に合わせて、リズミカルに身体を揺らす
電子音のボリュームが上がる、テンポが上がる、そして
「DJセージ、ブレイク……ダウンッ‼︎」
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