「結界なんて誰にでもできる」への返しが、怒鳴り声ではなく「結界、解除」の静かな一言なのがまず上手い。追放ものの型に乗りつつ、月光を浴びるノラの場面だけ筆圧が変わる——普段は奔放な嫁が祈りのように見える一瞬で、この夫婦の切実さが一気に伝わる。結界とは「通すものと通さないものの線引き」という能力解釈も独自で、月光だけ通して瘴気は通さない、迷宮に住めば家賃は要らない、と発想が次々に気持ちいい。尾行してくる受付嬢も気になる。