人物の心情が驚くほどに緻密に描写され、圧倒されました。世界観や情勢なども細かく設定されていて、頭に流れるように入ってきます。キャラクターの一人一人がまるで、実際の人物かのような作り込みが素晴らしいです。奇抜な設定や世界観で描くのではなく、恐ろしいまでのリアルな葛藤と栄光との乖離に一気に心を掴まれました。続編や、次回作の構想があればぜひ拝読させていただきたいと思います。
戦場では英雄だったイリーナが、パンを買うことや「選ぶこと」といった当たり前の生活に戸惑う姿が切なく、温かなパン屋の場面と戦争の記憶を塗りつぶす資料室の対比も印象的な作品です