世界最大のフルダイブ型MMO。
そんなゲームを始めた主人公が最初にやることは、レベル上げでも、装備集めでも、攻略情報の確認でもない。
歩く。
花を抜く。
うさぎを追いかける。
この「とりあえず面白そうだからやってみよう」という遊び方が、とてもいい。
そして何より面白いのが、ゲームマスターAI・ヘキサとのやり取りです。
やたら話しかけてくるヘキサに対して、主人公も普通に受け答えしている。
ところが――
「……あ、やべ。マイク切れてた」
え?
じゃあ今までの「会話」は何だったの?
ここで、それまで何気なく読んでいたヘキサの反応が一気に違って見えてきました。
そして主人公が初めてAIへ投げかけた問いが、
「なんでそう思ったんだ?」
攻略方法でも、アイテムの場所でもない。
AI自身が「なぜそう考えたのか」を尋ねる質問。
その結果、まさかの超高額報酬65,535TOKEN。
しかも平均報酬の1,310.7倍!
普通なら大切に使いそうな大金ですが、この主人公は違います。
ショップの最深部に突然現れた、これまで「購入不可」だった謎の商品「FFFF」。
価格はちょうど65,535TOKEN。
「……じゃあ、買うしかないじゃん!」
この一言に、この主人公の魅力が詰まっている気がしました。
効率より好奇心。
攻略より面白そうなこと。
損得より「何が起こるんだろう」。
だからこそ、誰も買えなかったものを買い、誰も辿り着けなかった何かを引き当ててしまう。
そして65,535TOKENすべてと引き換えに現れたのは、黒髪に青い瞳の謎の少女。
第一声は、
「別に起こせとか頼んでないんですけど」
いきなり好感度低そう!(笑)
AIが当たり前に存在するVRMMOで、「AIと話す」という行為そのものを物語の仕掛けにしているのが面白い。
攻略する気のないエンジョイ勢だからこそ、攻略組の誰も知らない世界の扉を開いてしまう。
この65,535TOKENの買い物が「大当たり」なのか、それともとんでもない厄介事の始まりなのか。
ジト目の彼女と主人公の次の会話を、すぐに読みたくなる第1話でした!