13世紀バグダードの商人ラシードが、大図書館で出会ったのは、魔術師とも狂人とも呼ばれたアルハザードの記録。
世界を支配する「世界定理」に魅せられた青年の夢は、モンゴル軍の襲来によって一度すべて奪われる。
炎に呑まれた日常と家族への想いを抱え、ラシードはアルハザードの足跡を追う旅へ踏み出す。
詩人でも学者でも魔術師でもある男が残した禁断の知識は、青年を“世界の真理”へと導き、やがて彼自身を人ならざる存在へ変えていく。
歴史の奔流と個人の探究心が交錯し、幾世紀を歩む物語は重厚で静かな熱を帯びる。
世界の理を求める者が辿る運命の記録。