まず惹かれたのが、文章の読みやすさでした。
地の文は簡潔でありながら、決して薄くはない。情景や状況を伝えるために必要な描写はきちんとあり、その中に菜ノ花ちゃんの思考や感情が自然と溶け込んでいます。
一人称ということもあって、読んでいるうちに菜ノ花ちゃんの目を通して物語を見ているような感覚になりました。文章のテンポも良く、するすると先へ進めるのに、描写が置き去りになっている感じがしない。このバランスがとても好きです。
個人的には「こんなふうに書けたら」と思ってしまう文体でした。簡潔に書こうとすると描写まで薄くなり、描写を厚くしようとすると今度は文章が重たくなる。その中間を自然に成立させている文章力が羨ましいです。
そして、歴史上の人物を扱っていながら、その人物を知らなくても楽しめるところも魅力でした。
私は歴史に疎く、恥ずかしながらヴラド三世についても本作を読むまでほとんど知りませんでした。それでも、彼が何者で、どのような歴史を持つ人物なのかが会話の中で自然に説明されるため、置いていかれることがありません。
物語を楽しみながら「そんな人物がいたのか」と知ることができるのも面白く、ちょっと得をした気分になります。
そして、そのヴラド三世が個人的にとても好みでした。
見た目もさることながら、性格や立ち振る舞いまで含めて魅力的で、登場してから一気に好きになった人物です。
一方の主人公、菜ノ花ちゃんにもすぐ感情移入できました。
普段あまり女性主人公の作品を読まないのですが、彼女については一人称の語りによって感情が身近に感じられることに加え、置かれている境遇や、それでも目の前の誰かを助けようとする姿を追っているうちに、自然と「この子を応援したい」と思うようになりました。
歴史上の英雄たちと「特異災害」の関係は何なのか。そして菜ノ花ちゃんが、これからどのようにして「串刺し公の娘」と呼ばれるまでになるのか。
文章そのものの心地よさも含めて、続きを読みたいと思わせてくれる作品です。
※3本読ませて頂きました。
まずタイトル!もちろんドラキュラ物は履修してますので、「ブラド三世か…娘?」と、読む態勢バッチリ。
キャッチコピーで理解、なるほど。
ブラド三世戦うのか!ソワソワ。
もうここまで来たら1話読むしかないですよね。ガール・ミーツ・キング。あぁー笑
本編読む前にオタクのスラングで会話してるみたいでしたw
で、本編。
主人公の育ちを説明され、いっきに感情移入。
人間関係の構築で「家族愛」が抜けてる、距離感が分からない状態。
でも「施設育ち」という生い立ちから「泣いてる子供を助ける」という危険が伴う行動も当たり前に行う。
何より驚くのが、主人公の「説明」が極端に少ない事。
「〇歳で施設に」「両親の所在」などの詳細無しに、1話前半でここまでしっかりとキャラが立つのは作者様の技量ですね!
そして3話で明かされる出生。あーやっぱりそうだったのか感。キモチイ。
■多分、わかる人にしか分からない事
「へえ……て、いうことは、貴方は昔の王様っていうことなんですか?」
→ここで「王……いや、ワラキア公……でも君主だから説明としては王様でいいのか……」と一瞬考えてしまいました笑
履修済みオタクはこういう細部でも勝手に楽しめるのでお得ですね!