「八重御所の変」と呼ばれる襲撃事件によって父である星河帝と近しい人々の命を奪われ、宮廷を追われた天和国の皇女、桜桃(ゆすら)。皇女という身分を隠さざるを得なかった彼女は、自分の殺された侍女、六花の名を借り、再び宮廷へと舞い戻る。全ては宮廷を襲った真犯人を追い詰め、国を取り戻すため……。和風ファンタジーの世界で繰り広げられる宮廷サスペンスロマン。
主人公のたどる運命はあくまで過酷だ。父親である帝は殺される。さらに、彼女を逃がすために、姉妹のように親しくしていた侍女、六花が殺される。
襲撃の後、事件の一応の下手人が仕立てられ、問題は表向き解決ということになるが、明らかに指示を出した真犯人はまだ宮廷内に潜んでいる。
桜桃が皇女を名乗って宮廷に戻ろうとすれば、真犯人の手によって暗殺されることは火を見るより明らかだ。だから、彼女は別人になりすまし宮廷に侍女として入るのだが、その時に自分をかばって死んだ六花の名を名乗る。
自分のために死んだ者の名を借りる。それは、絶対にその死を無駄にしないという不退転の覚悟を示す行為だ。自らに呪いをかけたと言ってもいい。桜桃のたどる道のりは、二人のタイプの違うイケメンと良い感じになるパートがどうでもよくなるほどに過酷なものだ。
桜桃は真犯人への復讐を果たし、国を取り戻すことができるのか。権謀術数と愛憎が渦巻く宮廷で繰り広げられる権力闘争が作品の見どころだ。
和風の世界観が好きな人、上辺はきれいだが中はドロドロの権力争いが好きな人におすすめの一作だ。