拝読させていただきました。ただ留守番をしているだけの時間なのに、言葉の選び方ひとつひとつに生々しい体温があって、気づけばじっと見入っていました。特別な事件を起こすのではなく、ふとした瞬間に揺れる感情の歪みや迷いが、飾らない語り口で丁寧に拾い上げられています。計算された筋書きというよりは、その場の湿気や手触りそのものが文章になったような、不思議な説得力がありました。静かな部屋の空気がそのまま流れ込んでくるような、独特の後味の良さがある作品でした。