三題噺のお題「香」「逆」「地方」――このお題から、まさかこんなに眩しいセカンドライフ物語が生まれるとは。主人公はUターンしたおじさん、相手は中学時代のマドンナだったおばさん。でも猫が繋ぐ二人の関係は、間違いなく「青春」そのもの。最高すぎませんか?
とにかく世界が――書かれる端々がピュア。深煎りの珈琲の香りとジャズが流れる商店街の情景、それだけでもう心が持っていかれちゃう。
そして黒字リストラや就職氷河期というワード、この時代を生きてきたカクヨム読者層に、ダイレクトにグサッとクルはず(レビュワーも同世代だから、やけに感情移入してしまいました(^^ゞ
読者に地続きの現実を持ってくるこの手法、本当にお見事だと思いました。
若い世代の方も、お父さんお母さんと重ねて見たら……そういう苦労があったのか、って思えるはずです。
そして……猫のお節介っぷりは、作者様お得意のお家芸。十八番といって良い。本当に大好きです!
今回も二匹のにゃんこがキューピッド役を買って出てくれます。
もう、この活躍ぶりがね。
にゃんこ最高としか言いようがない!
短編だからこその勢い、テンポの良さはもちろん魅力。でも同時に、二人が過ごした中学時代や、離れていた四十年分の人生――そのエピソードも、もっとじっくり読んでみたかった、というのが正直な感想。
読み終えて感じたのは、「青春に終わりなんてない」ということ。
青春のセッション、鳴りっぱなし!
大切な人とジャズを聴きながら、丁寧に淹れた珈琲が飲みたくなる。そんな読後感を、ぜひ味わってみてください。