ちくわ。
まさか、ここからこんな世界へ連れていかれるとは思いませんでした。
古本市で見つけた「ちくわに関する小説」の作者を探している、三十一歳のヨシヤ。
ところが彼の思考を追っていると、ちくわから「空洞」へ、夜勤明けの日常へ、妙にしょっぱいニンジンカレーへ、血圧へ、そしてなぜか八本のニンジンへ――。
……いったい、どこへ行くんだ(笑)。
なのに、この脱線しているようで本人の中では確かにつながっている思考が、妙に面白い。
何でもない日常の一つひとつが、ヨシヤの目を通すと少しだけ違ったものに見えてきます。
可笑しい。
ちょっと変。
それなのに、冒頭に置かれた「空洞」という言葉が、どうにも頭から離れない。
ちくわをきっかけに、この主人公はいったい何を見つけていくのか。
まだ始まったばかりだからこそ、この先がまったく読めません。
この奇妙な思考の行き先を、もう少し覗いてみたい。
そんな気持ちにさせてくれる、続きが楽しみな作品です。