北方の寒村、子どもたちの遊びの場面から物語は始まる。年嵩の少年エドガルドは夕暮れ、他所から来たであろう美しい少女に心惹かれる。さてはボーイミーツガールの始まりかと見せてそうはならず、物語は魔物が跋扈する夜の描写を皮切りに、じわじわと暗い影を纏っていく。
エドガルドはある特殊な血筋に生まれ、兄ともどもその血筋ゆえに特殊な力を持っているが、物語の後半、その血筋と力の意味が反転する。詳しくは本編に譲るが、彼の人生はそこで一変してしまう。そのことを悲劇と読むのは容易く、じっさい彼は母とも幼馴染の少女との別れも強いられる。だが一方で金色を帯びた瞳の少女との新たな道行に対し、胸の内から湧き立つ静かな昂りも覚えているのではないか。
幼馴染と無言で交わす仕草による別れの挨拶が、決して暗いばかりではない旅立ちを暗示しているように思えた。ぜひおすすめしたい一作。