「動けない」は、普通なら物語の終わりだ。この作品はそこから始まる。キャラメイクの誤変換で種族【石】を引き当てた主人公は、始まりの街に据え置かれたまま、定点カメラとして世界を観測しはじめる。移動できないという最大の制約が、そのまま「ずっとそこにいる者だけが気づく異変」という武器に変わる瞬間が気持ちいい。笑って読み始めたはずが、いつの間にか街の裏側を一緒に覗き込んでいる。