雨の日の喫茶店と、砂糖を五杯入れる小説家・大庭さん。
詩津香が彼の言葉や仕草をひとつずつ大切に覚えていく感じが、
初恋らしくてとても好きでした。
自分の名前を小説の主人公に使ってもらえた場面なんて、
これは期待してしまうよなあ……と思っていたので、
「恋人と海の見える家へ引っ越す」と聞かされたところはかなり切ない。
そして最後、本の中には「詩津香」がいるのに、大庭さん自身はどこにもいない。
雨とコーヒーと砂糖の甘さがずっと漂っていたぶん、その終わり方が静かに残る作品。
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