本格ミステリーホラー小説というのは
非常に希少であると思う。ましてやこの
ご時世に、これだけの作品を手掛ける作者の
本作品は
まさに『横溝正史』御大の再来の如き
謎解きと怪奇趣味と読後の深い感慨を齎す。
最も尊敬すべき作家の一人である。
さて、本作は大正末期にこの世を去った
大手デパート総帥の 後継者 を選ぶ為に
一族の候補者四名およびその後見人二名が
相模湖に程近い別荘に集められて
総選挙を行う…恰も、ローマ法皇を選ぶ
Conclaveの様相。勿論、その間は当事者達は
決して外へは出られない。
しかも、この候補者たち。
腹に一物も二物も持っており近しい血縁者で
あるが故の憎悪や複雑な過去、もう既に
幾許かの血が流れ怨念が渦巻いている。
勿論、候補者たちは一人ずつ、世にも
悍ましい 見立て で殺されて行く。
作者の別作品でもお馴染みの華族探偵、
助手にしては強い美貌の財閥令嬢、実は
止ん事無き警視庁の警部が入り乱れての
謎解きは、二転三転どころか更なる
曇天返しに翻弄される。
この壮大な 絵図 を描いたのは一体
誰だったのか。そしてそれは上手く
機能して行ったのか。
戦争前後の何処か白々とした空気までも
目の前に展開される。
そして、事件の眞の結末は……。
読後に深い余韻が残る。
本格ミステリーホラー作家の偉業。