静かな物語です。
けれど、その静けさに耳を澄ませていると、蝉の声や木の葉のざわめき、遠い海の気配まで、少しずつ心の中へ届いてきます。
短い言葉と美しい余白で描かれるのは、どこか懐かしく、やさしい夏。
音がないはずなのに、不思議なほどたくさんの音が聞こえてくる――。
その繊細な表現がとても素敵でした。
女の子の小さな発見をきっかけに、止まっていた季節がそっと息を吹き返していくような光景には、涼やかな風とともに、失くしていた大切な記憶まで運ばれてくるようです。
読み終えたあと、いつもの窓辺や夕暮れの空を、少しだけゆっくり眺めたくなりました。
慌ただしい毎日の途中で、ひととき立ち止まりたい方へ。
あなたの心にもきっと、ここにしかない夏の音が聞こえてきます🎐