第五十一話:ドレス姿のヒロインたちと、男の誓い

十二月二十四日、クリスマスイブ。


 イルミネーションで鮮やかに彩られた鳳凰学園の大講堂は、熱気と華やかな大歓声に包まれていた。


 鳳凰学園と白華学園の合同で開催される『聖夜のクリスマス合同後夜祭』。


 中央の特設ステージには巨大なクリスマスツリーが輝き、ロマンチックな音楽が会場を満たしている。


「みんな、準備はいいか? いよいよフィナーレのパーティが始まるぞ」


 俺はフォーマルな黒のタキシードに身を包み、会場の袖で待機していた。


ハイスペック男子としてのビシッとした佇まいに、周囲の女子生徒たちから「神代副会長……格好良すぎる……!」「まるで王子様……!」と黄色い悲鳴が上がる。


 だが、俺の隣に立つ同じクラスの相棒・小野寺アキラも負けてはいなかった。


 ネイビーのスタイリッシュなスーツを纏い、胸には生徒会長のバッジ。

修学旅行を経て自らの弱さを克服し、一人の女子を守ると誓った彼の表情には、凛とした風格と圧倒的な「主人公」のオーラが漂っていた。


「神代さん……僕、すごく緊張してます。でも……今日、絶対にヒナタさんに渡したいものがあるんです」


 アキラがポケットに忍ばせた小さなジュエリーケースをギュッと握りしめる。


「頼んだ品は完璧に届いているな?」


「はい! 神代さんが参謀としてアドバイスしてくださった、ヒナタさんの雰囲気にぴったりのシルバースノークリスタルのネックレスです!」


「よし、完璧だ。自信を持って渡してこい。お前の想いは、絶対にヒナタさんに届く」


「はいっ!!」


 力強く頷くアキラ。その時、楽屋の幕が開き、ドレスアップしたヒロインたちが姿を現した。


「あ……アキラくん……! お、待たせ……っ!」


 真っ先に歩み寄ってきた黄木ヒナタの姿に、アキラは言葉を失った。


 普段のカジュアルなギャル服とは一変、清楚な薄ピンクのドレスに身を包み、髪をふわっとアップにまとめたヒナタ。照れくさそうにドレスの裾をキュッと掴む姿は、息を呑むほどに可憐だった。


「ヒ、ヒナタさん……すごく、すごく似合ってるよ! 可愛い……っ!」


「〜〜〜〜っ!? ほんと……!? やだ、直球で言われると恥ずかしいじゃん……♡」


 顔を真っ赤にしてモジモジするヒナタ。

アキラのストレートな褒め言葉に、完全にノックアウトされている。


「ニシシ〜! アキラったら一目見た瞬間固まっちゃってさ〜! ウチのドレス姿にはノーコメントかい?」


 そう言ってニヤニヤ笑うのは、幼馴染の赤城アオイだ。

鮮やかなアクアブルーのショートドレスが、陸上部らしい健康的なスタイルを引き立てている。


「あ、アオイもすごく似合ってるよ!」


「へへっ、ありがと! アキラ、今日はウチの幼馴染として最高に格好いいところ見せなよ!」


「……小野寺くん……ヒナタちゃん……すごく……お似合い……」


物陰から現れた隠しヒロインの隠善ルナも、深いワインレッドのクラシカルなドレス姿で、二人を優しく見守っている。


(素晴らしい……! アキラの周りには最高の笑顔が咲き誇っている。参謀として、これ以上の報酬はない!)


 俺が後方腕組みスマイルで感無量に浸っていた、まさにその時


「お待たせいたしました、レイジ様」


 澄んだ鈴の音のような声と共に、我が最推し・西園寺琴音が姿を現した。


 純白のイブニングドレスに、純銀の装飾。雪の結晶のように儚く、けれど圧倒的な気品を纏った琴音の姿は、まさに降臨した女神そのものだった。



(あ……………………………………)



 

「レイジ様……今夜は、私だけの王子様でいてくださいますかしら……♡」


 琴音が可憐な笑みを浮かべ、両手でそっと俺の手をとってくる。


 右手には最推し・琴音。


そして左手からは「神代レイジ! 私とのダンスの約束、忘れていないでしょうね!?」と真っ赤なドレスを纏った白華の絶対女王・橘玲香が迫ってくる!


(両手に華どころか両手に超爆弾!! 聖夜祭の熱気が最高潮に跳ね上がっていく……!!)


「皆さん、ファーストダンスの時間です! 音楽をスタートしてください!」


生徒会長・アキラの宣言と共に、会場内に華やかなクリスマスソングが響き渡る!


アキラとヒナタの甘い恋の成就、そして俺を巡る全方位ハーレムの決戦第四章のクライマックスとなる聖夜のパーティが、いま華々しく幕を開けるのだった!

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