3章 第三十六話:新生徒会の初陣と、激重「副会長室」
秋の生徒会役員選挙が幕を閉じ、アキラが生徒会長、俺が副会長(兼・参謀)に就任して一週間。
私立鳳凰学園の放課後、新・生徒会室はいつになく異様な熱気に包まれていた。
「神代副会長! こちらの秋の行事予算案、チェックをお願いします!」
「レイジ様、本日のお茶はダージリンをご用意いたしましたの。一口いかがかしら……♡」
長机の上に山積みされた書類の向こうで、俺はひたすらペンを走らせていた。
隣にはお淑やかなエプロン姿の西園寺琴音、そして正面には「合同公務」と称して他校から毎日乗り込んんでくる白華学園の橘玲香の姿がある。
(……おかしい。俺は後方で優雅にコーヒーを飲む『頼れる相棒』ポジションに収まるはずだったのに……!)
副会長という表舞台のトップ2に就任したことで、ヒロインたちが「手伝い」や「公務」という正当な口実を得て、堂々と生徒会室へ押しかけてくるようになってしまったのだ。
「あら橘会長、今日は白華学園でお仕事はないのかしら?」
琴音がお茶を淹れながら、可憐な笑みでチクリと牽制する。
「あ、あるに決まっているでしょう! でも……神代副会長との合同打ち合わせの方が優先順位が高いのよ!」
玲香は顔をほんのり赤くしながら、俺のすぐ隣の椅子へと身体を寄せてきた。
そこへ「レイジく〜ん! 陸上部の備品申請書持ってきたよ〜!」とアキラの幼馴染のアオイが飛び込んできて、「……神代くんの……おやつ……置いておく……」とルナが物陰から差し入れを置き、ギャルのヒナタまで顔を出す。
(全方位の激重距離感!! 生徒会室が完全にハーレムの爆心地と化している……!!)
俺がポーカーフェイスを維持しつつ冷や汗を流していた、その時だった。
「皆さん! 静かにしてください!」
バシッと書類を揃える音が響く。
同じクラスの相棒であり、新・生徒会長の小野寺アキラが、腕章を巻いてビシッと立ち上がった。
「神代さんは今、全校の部活予算と秋の行事進行を同時に捌いている最中です! 琴音さん、お茶の差し入れは15分の休憩時間にお願いします。橘会長、合同協議は16時からの予定です。アオイも申請書は受付の箱へ!」
アキラの毅然とした一言に、ヒロインたちが一瞬「うっ……」と気圧されたように言葉を詰まらせた。
男子希少社会の特権に甘えず、俺の背中を追って鍛え上げられたアキラの気品とリーダーシップ。いまや全校女子生徒から絶大な支持を得る彼の指示には、他校の絶対女王・玲香すら素直に従わざるを得ない。
(アキラぁぁぁぁ! ナイスだ! これで少し作業に集中できる……!)
俺が心の中で感謝の涙を流していると、アキラが俺に向き直り、爽やかな笑顔で親指を立てた。
「神代さん! 僕が周りのスケジュールを完璧にコントロールしますから、安心して参謀としての采配を振るってください!」
「ああ、助かるよ、アキラ」
俺はフッと優しく微笑み、アキラの肩をポンと叩いた。
「「「……ッっっ♡♡♡」」」
その瞬間、周囲のヒロインたちから一斉に熱い吐息が漏れた。
「見た……? 神代様が小野寺様に向ける、あの全幅の信頼を寄せた眼差し……」
「ええ……自分のために必死に動く相棒を、あんな愛おしそうに見つめるなんて……」
「完璧な副会長でありながら、弟子を立てて影から支える……どこまで格好いいのよ……っ♡」
(なんでアキラが仕事を仕切れば仕切るほど、俺の『絶対的師匠&攻略不能な完璧副会長評価』に変換されてんだよぉぉぉぉっっっ!?)
「神代さん! 次は秋の『東西対抗・体育祭』の企画書ですね! 一緒に最高のイベントにしましょう!」
「……ああ、よろしく頼むぞ、アキラ」
新生徒会の始動と共に、アキラの成長と俺の全方位モテ無双はさらなる領域へ。
波乱に満ちた秋のメインイベント「体育祭編」の幕が、静かに上がろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます