いわゆるオカルト板、と言われるネットの怖い話で集まる掲示板を舞台にしたホラー短編集。
有名作品もあって、既に定着したフォーマットですが未だになじめなくて、IDや横道に逸れる会話をノイズに感じてしまうのですが、
──なんか変な【編纂注】が入るな?
という掲示板の裏側でなにか起こっている気配に引き付けられて面白く読めました。
ネット掲示板というのは、匿名で安全な場所から創作か真実かわからないことを覗き見できる感覚が魅力ではありますが、
まさかの阿鼻叫喚を実地体験できるとは思わなかったです。
それぞれ感度の違う怖い話が掲載されていますが、その違いが怖さとして襲ってくるのを体感して欲しいので是非最後まで読んで欲しいホラーです。
匿名掲示板のオカルト板のスレッドに書き込まれた、怖い話をまとめたという体裁の本作品。元が掲示板に書き込まれた話というだけあって、その内容は千差万別。
ASMRの耳舐め動画や動画サイトで自動生成される字幕、ゲーム内に再現されたお婆ちゃんの家など、いかにも今風の話もあれば、実家の蔵で見つけた怪しい呪物や、子供のころの肝試しの思い出などいかにも怪談の定番というものもあって、怖さの幅がとても広い。
一見すると一話完結の話の集まりに思われるが、ある人物が振り返る大学時代の先輩の思い出が回を重ねるごとに不穏さを増していったり、あるエピソードが以前にスレで語られた話と思わぬ形で結びついたりするなど、独立していたと思ったエピソードが読み進めるうちに関連性が浮かび上がり、またスレッドの編纂者が各話の文末につける注記もどんどん怪しい雰囲気を増していく。
スレで披露される怖い話に対して、住人たちが常に新鮮なリアクションを見せてくれるのも楽しく、特にリアルタイムで語り手に異変が起きていく類の話では、より恐怖を引き立ててくれる。分量はたっぷりあるものの、一話自体は短いため、興味が湧いたホラー好きの人はとりあえず一つ二つつまんでみるのをおススメしたい。
(「令和の都市伝説」4選/文=柿崎憲)