第五話 魔物が現れた!

 こ、怖い。


 ラルさんは息を荒げることもなく、魔物を見つめる。


 ラルさんは本当に何者?

 

 森の中に棒一本だけを持っていたラルさんと会った時。


 この人、よく生きていけているな。と思ってしまった。


「ラルさん!大丈夫ですか?怪我は…」


「ん?あぁ、全然平気」


 ラルさんは笑みを浮かべる。


 この人、本当に不思議だ。


 棒一本だけで森の中にいた。

 

 武器も。

 食料も。

 お金も。

 持っていなかった。


 それに、私たち動物のことを知らない。


 ラルさんは不思議に満ち溢れていた。


 不思議っていう言葉が口癖になりそう…。あー!もー!!


「この辺の魔物??」


「いえ。あまり見かけませんね…。ですが、最上級クラスなので森の奥に潜んでいたのかもしれません。この辺は最上級クラスが多いので」


 ラルさんは納得する。


「ちなみに、イラはこういう魔物は魔法で倒してるんだろ?」


「まぁ、イラさんは魔法使いなので」


 ラルさんはたまに変な質問をしてくる。


 そして___。


「やっぱり俺、魔法使いになりたい!!」


 楽しそうに、嬉しそうに、"魔法使いになりたい"と言う。


 魔法使いより、剣士の方が断然向いているのに。


 魔法使いになれる確率は低いと噂で聞いた。


 なんでラルさんは魔法使いになりたいんだろう。

 

  ⭐︎


「人間様ー!人間様ー!!」


 外が騒がしく、俺を呼ぶ声が聞こえた。


「な、何かあったんでしょうか…」


 嫌な予感がした。


「な、なぁ…この辺の魔物って…」


「出ますけど、イラさんがこの周辺にいる魔物は倒してくれているはずですが…」


 ならおかしい。

 この感覚は、魔物が近くにいる時の感覚。

 強い魔物ならではの魔力だ。


 て、てことは…。

 相当強い魔法使いが近づいてきてる!!


「この村、結界は?!」


「けっかい…?結界ってなんですか??」


 結界を知らない?!


「なんかバリアみたいなやつ!!」


「あぁ、イラさんがよくやるやつ!」


「多分そう!!それ、今の村に___」


 ドンッッッ!!!


 何か巨大なものが落ちた音がした。


「人間様!人間様ー!」


「と、とりあえず、外に出ましょう!」


 急いで宿を後にする。


「人間様!」


 外で待っていたのは喋るゾウ。


「人間様!お助けください!この村の守り人が全員全滅しまったんです!!」


「ぜ、全滅?!何を言っているんですか!この村 一の強さを持った動物たちですよ?!」


「今回の魔物、俺たち守り人には倒せません!!それに、イラさんも行ってしまった…なので!人間様は強いと聞きます!」


 人間が強いとは限らない…と思うけど…。

 この世界はそうなのか?


 武器は持っていない。


 魔法は自由自在に使えてない。


 なにか戦える武器があれば…。


 いや、あの鍛冶屋で?


「ミヤミ!」


「はい?!」


「鍛冶屋からなんか軽めの武器!持ってきてくれ!!」


「か、軽めですね!!」


 ミヤミは鍛冶屋に向かって走っていく。


「その場所に案内してくれ!あと、できるだけ村の人たちを遠くに避難させて!」


「わかりました!!」


 急いで向かう。


 軽めの武器とは言ったけど、ちょーでかい斧だったらどうしよう…。

 まぁ、どうにかなるか!


  ⭐︎


「すみません!!軽めの武器をお借りすることはできますか!」


 鍛冶屋に着いた。


「んぁ?今いいところなんだ!静かにしてくれ!!」


 ネズミの一人が言う。


「今、緊急事態なんです!!ラルさんのお願いで軽めの武器を持っていかないといけないんです!!」


「ん?ラルがどうした」


 奥の部屋からザイさんが現れた。


「ザイさん!今緊急事態でして!!軽めの武器とかありますか!!」


「軽めの武器か…ラルなら短剣がいいはずだ!」


 ザイさんは壁にかけられていた短剣を手に取る。


「この短剣ならラルに相性バッチリだろ。これ持ってけ!」


 ザイさんから短剣を貰う。


「ありがとうございます!」


 ザイさんは静かにまた奥の部屋に戻っていた。


 急いで届けないと!


 私は頑張ってラルさんの元に向かった。


 ⭐︎


「あそこにいるのが___」


「いやいやいや」


 やばすぎだろ!この世界!最上級クラスの魔物…ドラゴンが三匹って!?


 赤、緑、青色のドラゴン。


 尻尾が長く、動くたびに周りの木が折れていた。

 

 俺がいた世界と似ているドラゴン。なら、力も同じ…なわけないか。


 俺がいた世界では色によって力が違った。


 赤は炎を使う。

 緑は毒を使う。


 そして、青はなぜかそれといった力はない。


 炎はまだしも、毒はめんどくさいぞ??


 当たったら致命傷レベルなはず。


「人間様は剣士なのですか?」


「え?」


「先ほど、ミヤミち…ミヤミに武器を持ってこいとおっしゃっていたので…」


「まぁ、剣士だけど…俺は魔法使いになりたいんだ!!」


「ま、魔法使い…?!」


「ラルさーーん!!持ってきました!!」


 ミヤミの声が聞こえた。


 後ろを振り返る。


「持ってきました!!軽めの武器!!」


 ミヤミが持っていた軽めの武器。


 それは短剣だった。


「ザイさんがラルさんならこれがと…」


 流石ザイ。俺と相性バッチリのものを選んでくれた。


 短剣なら動きやすいし、被害は最小限に___


「ドラゴンだぞ!?そんな短剣一本で三匹も倒せるのか?!」


 ゾウは言う。


「え、倒せるけど?」


 何かしらの武器があれば勝てるでしょ。余裕よ。


 二人は驚く。


「「え???」」


 …え?普通じゃないの?


 




 

 


 




 




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