真壁湊の元へ10年ぶりに高校の同窓会の案内状が届く。彼がすぐに出席を決めたわけは、「全員、来ること」の文言のせいではなかった。参加者欄にあった白石奈央の名――10年前に死んだはずの少女の名があったためだ。果たして彼は母校へ向かう。死者との再会を果たすために。
謎から始まる同窓会はスタッカートな文章と会話劇とで綴られていきます。それこそ10年前に起きた悲惨な事故、奈央さん始めそこで死んだはずの7人との再会すらも。
ですが、しかし。
行間に詰め込まれたほの暗い風情が、文量を遥かに超える描写を読者の脳裡に情景を描かせるのですね。私などはよく「におい」と表しますが、それをこうも濃密且つ叙情的に味わわせてくれる作品はなかなかありません。
そうして得も言われぬにおいが読者の胸中へ降り積もり、真相が明かされた瞬間ざらっと崩れて寂寥の苦みを醸し出す。この最高で最悪なクライマックスがまったくもってすばらしいのですよ。
普段ミステリーを読まれない方にもおすすめしたい、馥郁たる物語です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=髙橋剛)