タイトルから、もっと「運だけで全部解決!」みたいな軽い作品なのかなと思って読み始めたんですが、思っていたよりグレイのキャラクターがしっかりしていて面白かったです。
最初のラッキーパンチで王族になってしまう展開は、かなりインパクトがありますね(笑)
しかも本人が王族になりたいわけでも、権力が欲しいわけでもなく、「豚肉が食べられるなら……」くらいの感覚なのが面白い。
アントワネット姫との最初の関係もかなり好きです。
いきなり姫に殴られるグレイと、「なんで殴ったんですか?」と本気で分かっていないグレイの温度差が笑えました。
個人的に良かったのは、グレイが「運だけの男」ではなくなっていくところ。
王宮に来た時点では文字も読めない、礼儀も知らない、王族としての常識もない。
そこからサタナリア教官に教えられながら、少しずつ知識を身につけていく。
特に、拳闘士時代に身につけた「死なないための観察力」が、王族になってからもちゃんと活かされているのがいいですね。
第5話の決闘でも、剣で正面から勝つのではなく、相手の体力を見て走って逃げるという(笑)
でも、これってグレイの拳闘士としての経験がちゃんと出ているんですよね。
第7話以降は、単なる成り上がりだけじゃなく、外交や領地、軍事、食料問題などに話が広がっていくので、「この先、本当に国を作っていく話になるんだな」という感じが出てきました。
第9話の水不足から、第12~14話の戦争・悪魔戦へ繋がっていく流れも良かったです。
特に第13話の「まずガードを固める。致命傷を避ける。観察する。考える」という考え方は、グレイの拳闘士としての経験がそのまま軍略に繋がっていて好きでした。
第14話の悪魔戦も、グレイが恐怖を感じながらも立ち上がるところは、「ラッキーで勝った男」から「自分の意思で戦う男」へ変わってきた感じがして良かったです。
そして、アントワネットとの関係も少しずつ変わってきていますね。
最初は完全に「こんな男と結婚したくない」という姫だったのに、グレイが危険な場所へ行くたびに心配していたり、第16話では「結婚式までに戻りなさい」と言ったり。
第17話の贈り物のところも、グレイが恋愛に関しては本当に不器用というか、そこだけ妙に初心者なのが面白かったです(笑)
第18話以降は、グレイ自身が国を動かそうとする側になっていくので、物語の段階が一つ上がった感じがあります。
特に第20話で、戦争に勝ったあとも「民衆から奪わないように」と命令していたり、最後に食料不足の問題が出てきたりするところは良かったです。
単純に「敵を倒しました、勝ちました」で終わらず、戦争の後に何が起きるのかまで描こうとしているのは、この作品の面白いところだと思います。
一方で、気になったところもあります。
まず、グレイの「幸運」がかなり強いので、今後も何でも偶然で解決してしまう展開が続くと、少しマンネリになりそうかなと思いました。
今のところは拳闘士としての経験や観察力、学習能力も描かれているので、「運+本人の能力」というバランスになっていますが、ここは今後も維持してほしいです。
それと、物語の展開がかなり速いので、個人的には「もう少しこの出来事を見たかった」と思う場面もありました。
特にアントワネットとの関係は、もう少し二人だけの会話や日常が増えると、二人の距離が縮まっていく過程をもっと楽しめそうです。
また、戦争や国の再征服まで進むのが早いので、登場人物や国同士の関係をもう少し掘り下げても面白そうだと思いました。
とはいえ、全体的にはかなり読みやすく、テンポも良い作品でした。
「ラッキーパンチで王族になった」というネタだけで終わらず、
「運で手に入れた立場を、本人がどうやって本物の力に変えていくのか」
という方向に進んでいるのがいいですね。
グレイがこれから「運のいい拳闘士」から「本物の王」になっていくのか。
そして、ツンツンしているアントワネット姫との関係がどうなっていくのか。
ここからの展開が楽しみな作品でした!