少し不穏な出会いから始まるけれど、この物語が描いているのは、死者を蘇らせる奇跡ではなかった。
むしろ一貫しているのは、「失ったものは戻らない」という厳しさ。
それでも残された想いや悲しみを、どう抱えて生きていくのかという優しさ。
怪異や死霊術といったダークな題材を扱いながら、物語そのものは不思議と温かい。
死や別れを扱う場面には切なさがあり、一方で登場人物たちの掛け合いは軽快で、重くなりすぎず読み進められる。
特に印象的なのが死霊術師メイ。
飄々として胡散臭く、どこかふざけているのに、「死者と生者の境界」については決して甘いことを言わない。その軽さと厳しさの同居が魅力的だった。