日常エッセイの延長のような語り口が、本当に癖になります。
「ありふれた話です」という前置きのもとで語られていく話。
その内容は「ちょっと変わったもの」を見た話のような、ある意味で「今日こんなことあったよー」くらいのノリで語られていく。
しかし、その内容は……。
これは作者奇六人氏の「奇六人黙示録」のエッセイを読んでいると、よりいっそうニヤリとさせられる仕上がりになっています。
「おかしなもの」との遭遇率がとても高く、「彼の近所はどんな魔境なんだい」と思わされるような魅力的なエッセイです。
本作はそんな「奇妙な日常」の魔界具合が更に高まり、遭遇するものの超常度が高まった感じになっているのが魅力的でした。
どんなものでも「慣れ」は生まれる。徐々に徐々に異質なものと遭遇経験を重ねたことにより、SAN値の変動を起こすことなく魔界の風景を眺めていける。
本作はそんな独特なホラー体験を得られる一作です。
作者は言わずと知れたオールラウンダー!
中でも、個人的にはSF、コメディ、ホラー
ミステリー、歴史幻想、現代ドラマ、そして
エッセイにはその 物凄さ を如何なく
発揮していると思っている。
そして本作。
ありふれた話
まさに作者の日課であるワンコの散歩中に
出会った光景、そして『峡嵐町』に程近い
六甲の歴史ある忌地にお住まいの
作者ならでは! の様々なエピソードを
展開させているのだ。
ワンコの散歩中に、近所の踏切で出会った
少年…丁度、少し前に人身事故があって
お供物の置かれた線路脇に佇んでいた。
強面だけどイイ人そうだったから、屹度。
夜の帰り道で、前を歩く酔っ払いの顛末。
なかなか酔いが醒めないのも考えもの。
ていうか、いい加減気付けばいいのに。
そして休日によく遭う、赤ちゃん連れの
若いお父さん。最近増えては来たが、
矢張りちゃんと子供とは目を合わせて
向き合わないと。
そして、作者自身の近況は…。
結構ガチ黑な職場だったからな。
でも、もう大丈夫そう。余裕、有難い!
今までは忙しくて見えなかったモノも余裕で
視えてくる…。
流石の見事な構成と盛り沢山の逸話が
嬉しい…!!
これからもワンコと共に、ネタ探し。
今、最も熱い!オールマイティ注目作家の
本領発揮怪談である。