真夏の太陽に向かって突然拳銃を5発ぶっぱなしたらザリガニ男に変身してしまい警察官をやめた男の物語りです。
実家に帰ったザリガニ男とシカオとトーコのおかしな集まり、お酒を飲んだり名古屋グルメを楽しんだり、ちょっとした事件も昨今ならいかにもありそうでその対処の仕方が行き過ぎてるけどちょっと痛快だったり。
調整池のほとりのそんな風景はかなりおかしいはずなのになんでか普通に思えてしまうのが不思議です。
哀愁ただよう結末に向けての落とし方も良く、ザリガニ男の人生という旅はこれからもずっと続くんだねと応援したい気持ちでいっぱいになりました。
この作品は某自主企画の賞への投稿というが
八月のお題は『旅』
都度、ハイレベルの短編を書くのはさぞや
骨の折れる事だろうと察する。
さて
本作品は、ノスタルジックな
歌謡曲をサブタイトルに、真夏の太陽のせいで
拳銃をぶっ放した と或る交番務めの巡査 の
視点で描かれるアバンギャルドな物語。
法治国家日本に於いて、ましてや全くの
危機的状況もない昼下がりに薬莢を略空に
なるまで拳銃を撃つ。
当然の如く懲戒免職となり、暫く
故郷へ戻り静養という名の自由を手にする。
作者の多岐に渡る知識のもの凄さ。それは
古今東西の書物に始まり、歴史に文化、
様々なサブカルチャーにまで及ぶが、更に
主人公と彼を取り巻く昔馴染みの仲間達との
遣り取りには、何処かアンニュイな空気が
流れる。
彼は一体 何モノ になりたかったのか。
暴挙に出た事でなれたのか、或いは
なれなかったのか。不完全であるが故の
人の性でもあろう。
山上ノ火在ル旅也。君子以テ明カニ慎ミ
刑を用ヒテ獄ヲ留メズ
タイトルの【艮下離上】とは易経六十四卦の
一つ。こうした小物使いの巧さには驚くと
共に平伏する。
まさにこの作品の 全て を表している。